ヴァイオリン。初心者が「かっこいいかも」という軽いノリで初めて、その難易度に速攻で挫折してしまいがちな楽器。

西洋の絵画では「悪魔が演奏する楽器」として描かれていることもしばしば。
なぜかそんなブラック企業のようなイメージが植え付けられている一方で、17世紀ごろに確立した完璧ともいえるデザインは21世紀のいまも当時とほぼ同じで、ビジュアル的に高級感があふれています。

たしかに綺麗に演奏できたらものすごくかっこいいこと間違いなしのヴァイオリン。

でもドレミファソラシドを正確に音を出すというそれだけで何ヶ月もかかる(大人になって始めた場合)のです・・・。
私も途中で投げ出したり復活したりを経て、なんとかモーツァルトの『ヴァイオリン協奏曲第3番』までたどり着くことができました。
これでもまだまだメンデルスゾーンやブルッフの協奏曲への道のりは遠いです。

これらの協奏曲を演奏することができても、まだまだパガニーニやイザイなどの曲が待ち構えています。
難行苦行の連続するヴァイオリン演奏ですが、難しい曲とは一体どんなものでしょう?

muzukashii


ヴァイオリン曲で難しい作品はどれだ?

正直、どれも難しいとしか言いようがないです・・・。

バロックまでならアマチュアでもなんとか太刀打ちできるのですが、古典~ロマン派あたりになるともうお手上げ状態。

そもそも前述のメンデルスゾーンやブルッフ、パガニーニの協奏曲などの有名曲は、大作曲家たちが自分または当代きっての一流演奏家の持ち味を100%発揮することを念頭に作曲されたものばかり。
つまりアマチュアが演奏することを最初から想定していないのです・・・。(アマチュア演奏家の依頼で書かれた協奏曲というのもありますが、一握りです。)

クラシックの曲の難しさはこの辺に理由があり、軽音楽ならわりと簡単に弾けてもショパンやブラームスでは非常に難しく感じてしまうのはこういうわけです。

そこであえてヴァイオリンの難しい曲をいくつか挙げてみると・・・。

パガニーニ『24の奇想曲』




私にはまったく弾けません。
東京藝術大学の入試課題曲としてパガニーニの『ヴァイオリン協奏曲』が採用されていますが、こちらもひっくり返るような難しさ!
幼稚園に入るか入らないかといった年齢から毎日何時間も徹底的にトレーニングし(というか親が教育熱心で)、かつ素質があり、優秀な先生に巡り会えた(一流の先生はレッスン代も高いけれど)といった本人の努力とは無関係な要素が重なって初めて到達できる領域です・・・。

ちなみに「毎日何時間も」と書きましたが、私のヴァイオリン教師に言わせると「そもそも子供にひとつのことを毎日何時間もやらせること自体きわめて難しい」とのこと。ですよね・・・。


エルンスト『夏の名残のバラ』




服部百音さん(作曲家・服部隆之さんのお嬢さんです)の演奏で、エルンストの『夏の名残のバラ』。
これも私は絶対に弾けません!\(^o^)/オワタ

エルンストはパガニーニの技巧に憧れてストーカー的に追いかけまわし、そのテクニックを苦心のすえコピーしてしまいます。
彼の作品はほとんどが歴史の波間に沈んでしまいました。『夏の名残のバラ』は、同名のアイルランド民謡のテーマを元に華麗な変奏曲を繰り広げるというもの。

2019年秋には運良く服部百音さんがこの曲を演奏するのを聴くことができました。
このときはオーケストラとの共演で、アンコールで服部百音さんが単独で演奏したものですが、その日の印象をすべて服部さんが持っていってしまいました・・・。


イザイ『無伴奏ヴァイオリン・ソナタ』



正直、楽譜を見るだけで「もうだめだ」感が漂ってしまいます。

イザイは19世紀末~20世紀前半に活躍したベルギーの偉大なヴァイオリニスト。
同じ時代を生きたヴァイオリニストであるシゲティやクライスラーたちに献呈することを念頭に数々の難技巧を散りばめたもの。
ベルギーで行われるエリザベート王妃国際コンクールはもともとイザイを記念して始まったものですので、このコンクールの課題曲でもあります。

おわりに

繰り返しますが、私はこれらの曲をまったく弾くことができません。
たぶんあと20年くらい練習を続けても多分弾けないでしょう。
仮に弾けたとしても「音が鳴っているだけ。人が感動するほどではない」という程度でしょう。

参考にCDを聴いてみたいという方は、川畠成道さんのアルバム「アヴェ・マリア」に『夏の名残のバラ』が収録されていますのでご紹介いたします。川畠成道さんは東京を中心に定期的にリサイタルを開催しているので、実演にも接しやすいでしょう。哀調のなかにも柔らかな優しさがのぞく音色が魅力です。