2019年はタピオカがものすごく流行しました。

夏前後には本当に至るところにタピオカのお店ができ、しかも軒並み大行列ができました。

しまいには「タピオカランド」とかいう謎スポットまで期間限定で設置され、入ってみたら内容がショボショボのスカスカだったとかいう、なんだかこち亀の両さんがやりそうなビジネスなテイスト・・・。

爽やかで甘い味わいのタピオカですが、秋から冬にかけて寒くなります。
正直タピオカは冬の飲み物というイメージはあまりないのですが、この冬を乗り切れるのでしょうか。

毎年一発芸人が12月の特番でさんざん登場して、明くる年の春にはいなくなっているということが後を絶ちません。

ではタピオカはどうなのでしょう? タピオカはブームを越えて定番として定着できるのでしょうか?

私はある実験をしてみました。
すると・・・。

タピオカブームが終わろうとしている可能性高し。データで見る「縮小」。

私が調べてみたのはGoogle Trendというツール。
これは、「天気の子」とか「ドナルド・トランプ」とかいったキーワードの検索ボリュームがどれくらいあるのかを、時間の推移とともに可視化できるもの。もちろん無料で使えます。

このツールに「タピオカ」と打ち込んでみると?


画像が小さくて申し訳ないのですが、これは2018年11月から2019年11月まで「タピオカ」という言葉の検索ボリュームの推移を示したもの。

2019年8月を100とすると、2018年11月は20程度。2019年11月には50です。

つまり2018年秋から2019年夏にかけて検索需要が右肩上がりとなり、その後は9、10、11月と下落傾向であることが読み取れます。

似たような事例はないかと思ったのですが、試しに「ビットコイン」というキーワードの検索ボリュームを調べてみました。
仮想通貨が流行ったのは2017年秋~2018年新春まで。
そこで2017年4月1日から2018年3月31日までの「ビットコイン」の検索ボリュームを確かめると・・・。



一時的に急増し、ガクッと下がったということが読み取れます。

ビットコインほどの浮き沈みこそないものの、「短い間に上がり、その後下がる」という大づかみな動きは共通点があると言えるでしょう。

報道でもタピオカブームは終わろうとしているという記事が見受けられます。

若い女性の間で大人気のタピオカだが、ブームの終焉の兆候がみられることが東京商工リサーチの調査でわかった。

じつはタピオカは、これまでも大不況の前後で話題になってきており、今回は消費増税が影を落としているらしい。

東京商工リサーチが2019年10月8日に発表した「『タピオカ屋さん』動向調査」によると、8月末現在で60社あることがわかった。同社が保有する企業データベース(約379万社)から、「タピオカ」専業及び関連事業を営む企業を抽出した。3月末時点では32社だったから、夏場の半年間でほぼ2倍に急増したことになる。

(中略)

ただ、個別に経営者に聞くと、「もうブームは終わろうとしている」と不安の声が少なくない。中国地方で数年前から「タピオカ屋さん」を運営する企業は、「昨年(2018年)からお客さんが以前の倍になったが、毎年、冬場に売り上げが落ちるのに、今年は夏過ぎからお客さんの数が落ちている」とブーム終焉の兆しを感じている。関東地方で「タピオカ屋さん」を営む企業も「ライバルが増えて、味やインスタ映えなど戦略が重要になった」と語る。
(https://www.j-cast.com/kaisha/2019/10/09369623.html?p=allより)

どうやら企業がたくさん参入し、結果として競争が厳しくなり、減っていく一方のお客さんを奪い合おうとして売上が落ちてきたというパターンのようです。

別の言い方をすると、今からタピオカ屋を始めようとする人はもはや手遅れだということです。

日米に見る努力の違い

日本では「石の上にも三年」と言い、辛くても3年は耐えてみることが美徳とされています。
英語では「In the right place, at the right time(正しいときに、正しい場所にいる)」 という言葉があります。

ビジネスで言うならば、次にどんな波が来るか確実に情報をキャッチして、その波に乗ることが儲かるためのコツだということです。「石の上にも三年」となんという違いでしょうか。

最近では2ちゃんねるを始めたひろゆきさんが似たようなことを書いています。
「2ちゃんねるの成功の要因はなんですか?」とよく聞かれます。
「戦略? 機能? それともネーミング?」
それらは、すべて「ノー」です。

真の答えは、「匿名掲示板の仕組み自体は元々あったけれど、途中でやめちゃう人が多く、たまたま僕だけが長く続けたから」です。

世界史を学ぶと、世界で覇者になる民族がいくつか現れますが、それは彼らが優れた能力を持っていたからではなく、地政学的に有利な場所にいたことが要因として大きいのです。

つまり、「たまたま、そこにいたから勝てた」のです。

飲食店経営について言えば、勝ち目のなさそうなタピオカのマーケットで耐え忍ぶよりも、「次に売れそうなもの」を察知して、そちらのマーケットに移行してしまったほうが確実に集客できるということになるでしょうか。

おわりに

そういえば秋になってからめっきりタピオカのニュースを耳にすることがなくなってしまいました。

急にスポットライトを浴びたものは、退場していくのも早いようです。

その一方でどら焼きやせんべいのように、流行り廃りがなく、自分たちが生まれる前から販売されており、自分たちが死んだ後も確実に売られ続けているだろうという昔からの味わいもあります。
本当に大切にすべきは、「いつもそこで待ってくれている」という安心感を与えてくれる伝統とか老舗とかいったものなのでしょうね・・・。