ヴァイオリンを始めたものの、難しくて弾き方がわからない! 練習もどうやっていいかわからない! 先生をどう見つけていいかわからない! そもそもメンテナンスの仕方もわからない!

初心者のうちはわからないことだらけ。

しかしこの1冊さえあれば大抵のことは解説されていてとても便利。
そんな本があります。


です。
私は18歳のときにヴァイオリンを始めました(今から15年以上前)が、もっと早くからこの本と出会えていたらとついないものねだりをしてしまいます。

この本のなにがどう優れているのか、深堀りしていきます。

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『まるごとヴァイオリンの本』、初心者~中級者向けでわかりやすく解説

この本はそもそもプロヴァイオリニストが書いてないという点は注目すべきです。

著者の石田朋也(いしだともや)さん。この本の著者略歴を見ると、名古屋大学大学院人間情報学研究科修了。音楽大学卒業ではありません。
5歳からヴァイオリンを始めたとあるものの、就職先はIT企業でiモードに関連した事業に携わっていたと記載されています。
現在では大人向けのヴァイオリン指導や弦楽器の写真撮影をされています。
つまり演奏家として活動しているわけではなく、徹底してアマチュアならどう感じるかという目線で書かれています。

この手の本では「子供の頃からヴァイオリンを始め、○×音楽大学卒業、19☓☓年、NHK交響楽団と共演。指揮者誰々とはウィーンで共演し」などの経歴がありがち。
そういう人は当然ながらプロなので、ある程度年を取ってからヴァイオリンを始めた人がどこでどうつまづくかというのは逆に見落としがちな傾向があります。

『まるごとヴァイオリンの本』の場合はそういう点にもスポットライトが当てられており、安心して読み進めることができます。

『まるごとヴァイオリンの本』のおすすめポイント

1.ボーイング、音程、ヴィブラートについてバランス良く記述

ヴァイオリンの演奏技術は大ざっぱに言って3つしかありません。
ボーイング(右手)、音程(左手)、ヴィブラートです。
この本でももちろんカバー。

・一つひとつの音は一定に均一に、指定どおりの長さで
・手先ではなく体のなかから動かす
・適切な弓の大きさで弾く

など、当たり前の動作をわかりやすく、また3つの技術をバランス良く記述しています。

2.効率的な練習の仕方について書かれている

よく言われがちな勘違いをはっきりと否定しています。

・ヴァイオリンは難しい(実際は一つひとつの音はまっすぐで、弓はただ横に引っ張るだけでいい)
・不自然な姿勢で演奏する(本当は自然な姿勢で演奏するもの)
・肩こりや痛いのは仕方ない(単に演奏方法を勘違いしたことによる筋肉の使いすぎ)
・練習を続ければいつかいい音が出る(いい音と経験年数はあまり関係がない)

そのうえで、単純なボーイング練習、音階練習、曲のストーリーを把握することの大切さが述べられ、さらにあると便利な練習グッズなどが紹介されています。

3.楽器の買い方も書かれている

この記事をお読みの方はおそらくある程度の年齢(概ね18歳以上)に達してからヴァイオリンを始めようとした方だと思います。
となると必然的に楽器は親に買ってもらうものではなく、自分が働いたお金で買おうとしている(買った)方だと思います。

しかしそもそもどういうお店で買えばいいのか・・・。

ヴァイオリンを扱っているお店ってなんだか高級感があって入りづらいですよね。

イオンモールの中にある総合楽器店から職人さんがいるお店(というか、見た目は普通の民家)まで、ヴァイオリンを売っているお店は色々あります。
この本ではどういうお店はどういう雰囲気なのか、何に注意しなければならないかはっきりと書かれています。

さらに、楽器グレードアップで悩んだ時もどうすればいいかも述べられており、楽器を買う前も、しばらくして買い換えるときも役立つ本となっています。

4.日々のメンテナンスから修理までも書かれている

当たり前ですが、楽器は使えば使うほど手垢や松脂が付いて汚くなっていきます。
そんな日々のメンテナンスはどういたらいいのか、弦を交換するときはどうしたらいいのか。
弓はどんな扱いをしたらいいのか。修理に出すときはどんなときか。

こういういつか出くわす「あるある」にも踏み込んで書かれています。

5.ヴァイオリンの先生の探し方にも触れている

正直、ヴァイオリンの独学はものすごく無謀です。
必然的に先生に教わることになりますが、どんなふうに先生を探したらいいのでしょうか。

コツは、自分がどんなリターンを求めているか。
・プロになりたい
・個人的な趣味としたい
・アマチュアオーケストラに入りたい
・バッハの「シャコンヌ」など、特定の曲が弾きたい
など、自分が何をやりたいかを明確にするかが大切だそうです。

さらには、先生とどう付き合って言ったらいいのか、師弟関係とはといったことまでも書かれています。
著者ご自身が生徒に教える立場でもありますから、先生はどういった時に嬉しさを感じるのかも書かれているのは注目すべきでしょう。

6.苦しいことが多い楽器だと正直に書いている

誰もが感じることですが「こんなことを続けて意味があるのか」「いいことがあるのか」というネガティブな気持ちになりがちな楽器、それがヴァイオリンです。否定し難い事実です。

初期投資だけでかなりの金額がかかり、毎月のレッスン代もかかります。
毎日の砂を噛むような練習、どれだけ続けても汚い音しか出ません(これも事実)。

著者石田さんも、何度も辞めたいと思ったことがあると正直に告白しています。
そのうえで、「厳しいことですが、自分がヴァイオリンに向いていないかどうかの判断は、かなりの歳月をかけてはじめてわかるものだと思います」と述べられており、この楽器を弾きこなすためのハードルはきわめて高いことをはっきりと書いています。

おわりに

このように『まるごとヴァイオリンの本』には、ビギナーの方が悩みがちなことは大抵網羅されており、多くの疑問や悩みには90%以上答えが書かれているといえます。

私自身もヴァイオリンに関する本は何十冊と読んできましたが、初心者~中級者目線がここまで徹底している本は他にありません。この1冊を読むだけで全然OKと言っても過言ではないでしょう。

この本があと15年早く出版されていたら学生時代の自分も随分助けられたろうにと、つい思ってしまうのでした。

追記:このブログの「ヴァイオリンのこと」カテゴリでは他にもヴァイオリンについて色々な記事がありますので、お読みいただけると幸いです。