ポジティブシンキング。

なんでも前向きに捉えようとする考え方のこと。たとえば、「ピンチはチャンス」などですね。

でも正直、これってうざい。
そう思っている人も多いのではないでしょうか。

私自身もこの考え方にメリットがあることは認めますが、どうもしっくりこない気がします。
自分なりにどうしてポジティブシンキングがうざい・胡散臭いと思ってしまうのか、まとめてみました。

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ポジティブシンキングがうざい。その理由とは。

どんな困難にぶつかっても、道は開ける。こういう希望を持つことは大切です。それは否定しません。
フランクル『夜と霧』を読むと、アウシュビッツ強制収容所の極限状況のもと、希望を失った人から死んでいったことが書かれています。
将来に向けて明るいイメージを持てるか持てないかが生死すらも分けてしまうことがあるようです。

しかし日常生活では、「きっとできる」「私はやれる」そう連呼されるとどうしても「うざい」と反発を感じざるを得ません。

自分の経験から言うと、マルチ商法を勧誘してきたある知人がやたらとポジティブシンキングを推しており、ネガティブな気分になったら、「『(ネガティブな気分)は冗談!』と内心否定するようにしている」とか、「(日本代表は負けたけど)まだあと1試合ある!」など強引なほどにポジティブな(ポジティブを通り越してギラギラした)言葉を散りばめたメールを送ってきたりと辟易していました。

彼の言動には黒いもの、グレーなものでもポジティブという言葉持ち出して白にしたがる傾向がうかがわれました・・・。
私はどうしても「それは違う」と内心思わざるを得ませんでした。(その知人のマルチ商法の勧誘があまりにしつこいので、私は連絡を取らなくなりました。)

そのポジティブシンキングというものの起源を調べてみたところ、案の定というべきかアメリカ発祥で、オカルトとも言える思想やマルチ商法とも親和性が高いようなのです。

ポジティブシンキングのいかがわしさ

以下はウィキペディアからの引用です。
19世紀にアメリカ合衆国で生まれたキリスト教の異端思想で、メスメリスト(催眠治療家)・心理療法家フィニアス・クインビー(1802年 - 1866年)に始まるニューソートに由来すると考えられている。ニューソートは、個人主義、自己責任主義、反宗教(反伝統的キリスト教)、汎神論、健康第一主義、思考の現実化、精神の物質化、精神療法重視などを特徴とする。
正直、ポジティブシンキングはどことなく皮相な感じがします。その意味で歴史のない国=先人の智恵に頼れない国、アメリカが発祥だというのはなんとなくうなずける話です。

この思想に基づいて様々な自己啓発本が出版され、社会にポジティブシンキングが浸透していきます。
ところが・・・。
素朴だったアメリカの積極思考は、est(注:エアハード式セミナー・トレーニング)によって極限まで推し進められた。estは自己責任を強調し、「すべての人間は自分の人生を全く自分で作るものであり、どんなことが起こっても自分に責任がある」という綱領を掲げて活動した。ここからは、estを身につければその人自身がその人の宇宙を創造する万能の力を手に入れるというメッセージを読み取ることができた。estは自己啓発セミナーの草分け的存在になり、アメリカで大流行し、莫大な利益を稼ぎ出した。
「宇宙を創造する万能の力」? なんだか新興宗教のようです。
アメリカの歴史を学んだことのある方なら「ピューリタニズム」という言葉を聞いたことがあると思います。
イギリスから北米へ移住した人々の多くはピューリタンであり、語源は清潔、潔白などを表すPurityに由来します。
きわめて厳格な秩序感覚を持っていた彼らは、自分たちと異なる感覚の持ち主に対しては非常に冷淡であり、ときには独善や極端に傾くことがあります。

たとえば20世紀前半にアメリカでは禁酒法という法律が制定されたことがありましたが、ここにはピューリタニズムの負の面が現れていると思います。

ポジティブシンキングの効用とは

以下もウィキペディアの引用です。
ロンダ・バーンは『ザ・シークレット』で、成功や幸せについて思考することで成功や幸せを「引き寄せる」ことができると主張した。例示される悩みは軽いものが多く、この中で比較的重い「お金がない」という悩みに対し著者は、お金がない「唯一」の理由は自分自身の後ろ向きな思考であると答えている。
バーンは「津波などの災害に見舞われるのは『その災害と周波数を同じくする』人だ」とも語っており、災害に合うような思考をすることで災害に合うとしている。
この2つの部分は、私にはどうにもこうにもオカルトではとしか思えません。
とくに津波など・・・のくだりですが、宮城県や岩手県の人たちは津波に見舞われやすいメンタリティだとでも言いたいのでしょうか?

さらにウィキペディアの「(ポジティブシンキングの)影響」という項目ではやはりマルチ商法のことが書かれていました。
ネットワークビジネス(マルチ商法)は、販売員のモチベーション向上のために積極思考を研修やトレーニングに取り入れており、積極思考を組織的に学び、それをビジネスや人生で実践しようという集団、積極思考のコミュニティのようなものになっている。
だからマルチ商法に勧誘してきた私の元知人はしつこいほどポジティブだったのですね・・・。


無理にポジティブであろうとすると、成功の妨げになる

そもそもポジティブなことを考えると、それだけあなたは成功するのでしょうか?

ガブリエル・エッティンゲンという人が書いた『成功するにはポジティブ思考を捨てなさい』によると逆にネガティブな考えのほうが成功を収めやすいそうです。

つまり「目標を達成するには、ひたすらポジティブに夢見るよりも、理想と現実のギャップに注目し、対策を立てたほうが効果的」だとか。
たしかにあるべき姿と今の状態を比べてみて、何が問題なのか洗い出した上で一つ一つ課題を潰していったほうが現実的ではあります。

アマゾンのレビューでは
とても理解しやすい内容ですぐに使えるテクニックもあるので物事を多角的に捉えられるようになりました
頑張ってるのになかなかうまくいかないなぁと思うことがあれば一読の価値はあるかなと思います

と書かれていました。たしかにポジティブシンキングって、物事を多角的に見ている様子があまり感じられませんからね・・・。

まとめ

ポジティブシンキングの源流を調べてみたところ、案の定というかちょっと胡散臭い要素がありました。
ポジティブシンキングで成功した人がいるかもしれませんが、成功はあくまでも行動を起こしてこそ。
その点ではなにが何でもポジティブにこだわるよりも、ガブリエル・エッティンゲン氏のように多角的に物事を見たほうがいいのではないかと思いました。