多くの一流企業が社員をなんとかして減らそうと追い出し部屋で単純作業を延々とやらせているというニュースが何度も繰り返されています。
でもやる気がない社員だったらさっさと解雇すればいいものを。
そう思うかもしれませんが、早計でした・・・。

この条件がそろわないと、社員は解雇することができず、仮に解雇しても解雇権の濫用だとして裁判で無効になる可能性が高いのです。
東芝が100%出資する主要子会社にこの春、新しい部署ができた。そこには希望退職に応じなかった社員らが集められ、社内外の多忙な工場や物流倉庫で単純作業を命じられている。東芝は「適切な再配置先が決まるまでの一時的措置」だと説明するが、社員からは「退職を促す追い出し部屋だ」との反発が出ている。(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190615-00000005-asahi-sociより)
でもやる気がない社員だったらさっさと解雇すればいいものを。
そう思うかもしれませんが、早計でした・・・。
私は職場で「過半数代表者」(簡単にいうと労働組合が設置されていない企業で、労働組合に代わって経営者と労働条件に関する交渉を行ったりする)という役割を引き受けており(ほかにやりたいという人がいなかっただけの話なんですけどね)、36協定がどうした、無期雇用契約への転換がどうした、ということを調べる過程で人を解雇することの難しさを知りました・・・。

人を解雇することの難しさ
ウィキペディアには解雇をするときの4つの条件が示されています。この条件がそろわないと、社員は解雇することができず、仮に解雇しても解雇権の濫用だとして裁判で無効になる可能性が高いのです。
人員整理の必要性余剰人員の整理解雇を行うには、削減をしなければ経営を維持できないという、企業経営上の高度な必要性が認められなければならない。解雇回避努力義務の履行期間の定めのない雇用契約においては、人員整理(解雇)は最終選択手段であることを要求される。例えば、役員報酬の削減、新規採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換、出向等により、整理解雇を回避するための経営努力がなされ、人員整理(解雇)に着手することがやむを得ないと判断される必要がある。被解雇者選定の合理性解雇するための人選基準が合理的で、具体的人選も合理的かつ公正でなければならない。手続の妥当性整理解雇については、労働者に帰責性がないことから、使用者は信義則上労働者・労働組合と協議し説明する義務を負う。特に手続の妥当性が非常に重視されている。
以上はウィキペディアの「整理解雇」という項目からの部分抜粋になります。
この4つの手順を踏むというのは、企業にとってはとてつもなく高いハードルだと言えるでしょう。
また、景気が悪くなるたびに大学生が就職で苦労するのも、企業側にしてみれば「この人を採用したらよほどのことがないかぎり65歳まで雇い続けないといけない」というプレッシャーが背景にあるといえるでしょう。
日本のサラリーマンの給与、とくに基本給の部分がほかの主要先進国のそれと比べて低いのもこれで説明がつくのではないでしょうか。
つまり日本のサラリーマンは、給与が低いことと引き換えに65歳までの安定を確保してもらっているのです。
平凡な人にとってはありがたい制度ですし、我こそはと思う人にとっては「なんで俺の能力にこれだけしか払わねえんだ! 外資系に転職するぞ!!」と思う制度でしょう。
人事コンサルタント・城繁幸さんはこのようにツイートしています。
もうこの言葉がすべてを語り尽くしていますね・・・。
この4つの手順を踏むというのは、企業にとってはとてつもなく高いハードルだと言えるでしょう。
また、景気が悪くなるたびに大学生が就職で苦労するのも、企業側にしてみれば「この人を採用したらよほどのことがないかぎり65歳まで雇い続けないといけない」というプレッシャーが背景にあるといえるでしょう。
日本のサラリーマンの給与、とくに基本給の部分がほかの主要先進国のそれと比べて低いのもこれで説明がつくのではないでしょうか。
つまり日本のサラリーマンは、給与が低いことと引き換えに65歳までの安定を確保してもらっているのです。
平凡な人にとってはありがたい制度ですし、我こそはと思う人にとっては「なんで俺の能力にこれだけしか払わねえんだ! 外資系に転職するぞ!!」と思う制度でしょう。
人事コンサルタント・城繁幸さんはこのようにツイートしています。
jo shigeyuki@joshigeyuki
「日本企業は技術者を冷遇しすぎ!」って人がたまにいるんだけど逆。いらなくなった技術者も全部含めて65歳まで守らないといけないから思いっきり低く抑えとかないといけないの。エンジニアとして食っていきたいという人は今後は一律の初任給のある会社は避けるべき。
2019/06/16 08:09:33
もうこの言葉がすべてを語り尽くしていますね・・・。
しかし、ものすごい高給取りも誕生しつつある
その一方でこんな制度も。
ユニクロを運営するファーストリテイリングは優秀な若手の確保に向けて2020年春にも人事制度を見直す。入社後最短3年で子会社の幹部などに抜てきする。年収は1千万円を超え、欧米勤務では最大3千万円程度とする。ソニーが人工知能(AI)に詳しい新入社員を優遇するなど、横並びの給与や昇進体系の見直しが進めば成果主義が浸透し、企業の生産性向上にもつながっていく可能性がある。
(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46464260S9A620C1MM8000/より)
3千万円もの給与を支払うということは、その裏には当然「その金額に値しない人物は去れ」ということで、成果が出なければ容赦なく退場を迫られるものだと思われます。
いずれにせよこのように処遇が一律ではなくなる動きが社会全体に広がると、平均的サラリーマンはどうなるのでしょうか。年収3千万に値するスタープレーヤーはごく一握りで、およそ90%の人間は並の能力しかないはずです。
一部のスタープレーヤーに給与が集中して、その原資は平均的サラリーマンの賃金の目減りという形で賄われるのかもしれません。
消費税率の引き上げ、社会保険料率の引き上げ、さらには給与の減少・・・。
平成の30年で日本人サラリーマンの経済的ゆとりは確実に失われていっています。
これからも少子高齢化に歯止めがかからない以上、消費税率、社会保険料ともにますます負担増は予想されます。
私も含めて、並のサラリーマンにとっては厳しい時代になりそうです・・・。
上記の城繁幸さんは、こんな本を書いています。
題して『7割は課長にさえなれません』。
40歳になっても係長止まりのバブル世代。二人目が産めない女性一般職。正社員になれない団塊ジュニア。ああ、なんでこの国はこんなに生きにくいんだろう…。閉塞感漂う日本経済、終身雇用を望む新人の割合が過去最高を記録した。しかし「終身雇用=安定」は真っ赤なウソ。35歳で昇給を止める動きがすでに加速、生涯賃金は十数年前とくらべ三割減。まさに飼い殺しなのだ。二〇一X年、働くことに希望がもてる会社にするために、私たちがいまこそ心しておくべきこととは?雇用問題のスペシャリストが示す最終解答。
うーん、2010年出版の本なのに内容は色あせない・・・。
ちなみに私も課長にはなれなさそうです! \(^o^)/オワタ
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