国際機構や公益法人などでは、皇族の方が名誉総裁という役職をお務めになることが多いです。

いったいなぜだろう・・・?

と思っていたところ、本日のニュースで疑問が氷解しました。

備忘のために記事化しておきたいと思います。

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定款でそう定めている法人が多いのが理由

本日のニュースではこのように書かれています。
皇后さまは22日、明治神宮会館(東京・渋谷)を訪れ、全国赤十字大会に出席された。日本赤十字社の名誉総裁を務められる皇后さまにとって、天皇陛下の即位後、初の単独公務となった。
(中略)
日赤は、定款で皇后さまが名誉総裁に就くと規定。平成期に名誉総裁を担った上皇后さまが4月30日に退任し、皇后さまが5月1日付で新たに就任された。
(日本経済新聞2019年5月22日記事より)

このように、定款で明確に定めているのが理由でした。
定款(ていかん)とは何かと言うと、個々の私法人の組織・活動について定めた根本規則のこと。
日本という国家の基本的な約束事を定めたものが「憲法」であり、会社なり財団法人なりの基本的な約束事を定めたものが「定款」にあたります。つまり会社にとっての憲法のようなもの、それが定款です。

日本赤十字社の定款はどうなっているのか

第3章名誉総裁、名誉副総裁、顧問及び参与
第19条本社は、皇后陛下を名誉総裁に奉戴する。
第20条本社は、皇族を名誉副総裁に推戴する。
第21条本社に、顧問及び参与を置き、社長が委嘱する。
2顧問及び参与は、本社の重要な業務につき、社長の諮問に答え、又は意見を述べる。
(日本赤十字社定款より。文中の本社は日本赤十字社のことです。)

このように明文化されていました。
ウィキペディアには「日本水難救済会、済生会、日本サッカー協会なども、同樣に皇族を名誉総裁としている」と書かれており、試しに日本水難救済会の定款を読んでみると、「名誉総裁は、理事会の決議により推戴する」とあり、理事会の話し合いを経て皇族の方にお務め頂いているものと思われます。


おわりに

というわけで調べてみると確かに定款に書かれていました。
私は以前ある財団法人の運営をしていたことがあり(理事も評議員も交通費すら支給できない完全にボランティアに近い財団法人だった)、定款というものは馴染み深いものがあります。
こうした資料を見ていくと、いろいろ面白い事実が浮かび上がってくることもあります。

また、どこの法人も情報公表の観点から役員を公開していることが多く、これも見ていくと「え、あの人がこの財団の理事なの?」という発見があることも。

お時間のあるときに色々と調べ物をするのは楽しいものです。