ヴァイオリンを弾く人ならいつか必ず出くわす曲であるモーツァルトの「ヴァイオリン協奏曲第3番」。

大体、篠崎教本の第4巻を終わらせて次はどうなるのといったあたりで、先生から「次はコレかな」と渡されるのが一般的だと思います。(私もつい最近、この曲にようやくたどり着きました・・・。長い道のりだった・・・。といってもここから先はもっと長い・・・。)

これまでやってきた「いかにも学生が練習のために弾いてます」的な曲から、抜けるような青空を思わせる爽快なメロディ! 

つい先日までコレルリの「ラ・フォリア」を弾いていた方は、きっと「トンネルを抜けると青空だった」のような感想を持つでしょうね・・・。

コンクールやオーディションでも使われる本格的な曲であるモーツァルトの「ヴァイオリン協奏曲第3番」。じっくり取り組みたいですよね。

では、お手本にするにはどんなCDがいいんでしょうか。いろいろありますが・・・。

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モーツァルト「ヴァイオリン協奏曲第3番」。おすすめのCDは

有名どころではやはりベルギー出身のヴァイオリニスト、アルテュール・グリュミオーが演奏したものを外すわけにはいかないでしょう。



今更繰り返すほどのことでもないですが、グリュミオーはバロックから現代曲まで幅広いレパートリーを持ち、しかもどれもが美音だらけで、彼を批判する人ははっきり言って超少数派(というか変人)でしょう!

モーツァルトに限らず、バッハ、ベートーヴェン、ブラームス・・・。ヴァイオリンのCDでファースト・チョイスとして選んでまず後悔はないでしょうね。
このモーツァルトの「ヴァイオリン協奏曲第3番」でも模範的といえる演奏を繰り広げています。
特別奇をてらうことなく、とにかく正統派。かといって退屈にはならない。
当たり前のことを当たり前のようにできている素晴らしい演奏です。



もう1枚挙げるとすれば、あまり有名ではないですがカルミニョーラが演奏したものがよいです。
グリュミオーよりも小ぶりではありながらキビキビとした動きを見せるヴァイオリン(1733年作のピエトロ・グァルネリ・ディ・ヴェネツィアを使って録音したようです)。

いわゆる古楽器派の演奏(作曲家存命当時の演奏法をなるべく再現しようとする演奏方法)です。
古楽器派というとやけにスピードが早かったり、音程が低めだったり、ヴィブラートが少なくてサバサバしていたり・・・となりがちですがカルミニョーラのこの演奏はとくに違和感がありません。

思えばモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番は、彼がまだ19歳のときに自分で演奏することを前提に作曲された作品でした。
この軽快な演奏を聴いていると天才の青春が赴くところ、不可能なことは何一つなかったのだとさえ思わせる、胸が広々と膨れてゆくような爽快感にとらわれます・・・。

注:カルミニョーラのCDには、クラウディオ・アバドが指揮者を務めたものがありますが、この記事で言及しているのはカルロ・デ・マルティーニが指揮したものです。

おわりに

とにかく弾いてよし、聴いてよしの名曲、モーツァルトの「ヴァイオリン協奏曲第3番」。
私なりの主観ですが、これはいいぞと思ったものを挙げさせていただきました。

ちなみに楽譜はどれを買うべきかというお話ですが、私の先生に相談したところベーレンライター版を挙げました。「あまり余計な指使い、スラーがないもののほうがよい」、だそうです。

ネットで著作権の切れた無料楽譜をダウンロードするのもありですが、ヴァイオリンを弾く人ならモーツァルトの「ヴァイオリン協奏曲第3番」は一生付き合うことになるはず。ならばある程度信頼のできるエディション、よい印刷のものを買ったほうが結局はトクですよね・・・。