2019年3月、大阪で行われたアイスショー「スターズ・オン・アイス」に出演した宇野昌磨選手が平昌五輪のショートプログラムで演じたヴィヴァルディ作曲『四季』の「冬」を披露しました。

このヴィヴァルディ『四季』の「冬」はどんな曲なのでしょうか。

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ヴィヴァルディ『四季』より「冬」。どんな曲か

そもそもヴィヴァルディ(1678-1741)はイタリアの水の都・ヴェネツィアの司祭兼作曲家で、数多くのヴァイオリン協奏曲を残しています。

その数なんと600あまり。おなじイタリアの作曲家・ダラピッコラには「600曲作曲したのではなく、1曲を600回書き換えただけだ」と皮肉られるほどの多作家です。

ヴィヴァルディが勤めていたピエタ慈善院付属音楽院では、身寄りのない多くの少女たちが暮らしていました。
この水の都には多くの船員たちが訪れ、そして過ぎ去っていきます。
彼らは短い休日に女性たちと一晩だけの情事を交わし・・・。
つまりそういう事情で生まれた子供たちを引き取り、教育を施すのがピエタ慈善院付属音楽院でした。

こうした子供たちに音楽を教えるのがヴィヴァルディの仕事で、自分で作曲した作品を生徒に演奏させていたわけです。

ヴィヴァルディの代表曲『四季』は作曲当時からも欧州各地で非常な評判だったと伝えられています。

ヴィヴァルディ『四季』には原作となった詩がある

ヴィヴァルディの『四季』は作者不明のソネット(十四行詩)が添えられています。
「冬」にはこうあります。

<第1楽章>
冷たい雪の中、凍てつく寒さ。
吹きすさぶ恐ろしい風の中を行く。
(寒さのあまり)絶え間なく足踏みしながら走り、
あまりの寒さに歯の根が合わない。

<第2楽章>
炉端で静かに満ち足りた日々を送り、
その間、外では雨が万物をうるおす。

<第3楽章>
氷の上は、ゆっくりとした足取りで歩く。
転ばないように注意深く進む。
焦って歩いて、すべって倒れる。    
また起き上り、急いで走れば
氷が砕け、裂け目ができてしまった。
東西南北、あらゆる方角からの風が
閉ざされた扉から入ってくる音がする。
これが冬なのだ。こうして冬は喜びをもたらす。

宇野昌磨選手の演技は

さて宇野昌磨選手の演技は、ヴィヴァルディの「冬」の第3楽章を使っているようですね。
平昌冬季五輪で使われただけに、まさに冬というシーズンを意識しての起用でしょうか。



じつはヴィヴァルディはこのソネットの文章をかなり忠実に音で再現しようとしており、寒さで歯がガチガチ音をたてる様子は楽譜の譜面の見た目もそうなっています。

第3楽章でもじっくり耳を澄ましてみると、慎重に歩こうとしたり、風がものすごい勢いで吹きすさぶ様子が描写されているのがお分かりかと思います。
宇野昌磨選手もこのソネットに触発されながら表現を考えたのかもしれません・・・。

おわりに

フィギュアスケートではクラシックの曲が用いられることがよくあります。
もしヴィヴァルディの「冬」を抜粋でお聴きになりたい方はヴァイオリニスト・石川綾子さんの「フィギュアクラシック」というCDが、プッチーニの「誰も寝てはならぬ」やショパンの「バラード第1番」、アンドリュー・ロイド・ウェーバーの「オペラ座の怪人」などが収録されておりおすすめです。

ヴィヴァルディの『四季』を単独で全曲お聴きになりたい場合、イ・ムジチ合奏団のCDが模範的な演奏として名高いものです。