「悔いの残る生き方は地獄よりも残酷だわ」。
この台詞は1999年に日本公開された映画『娼婦ベロニカ』からの引用です。
16世紀のベネチア。海洋都市として繁栄していたこの街に実在していた人物、ベロニカの人生を描いた物語です。
あらすじは・・・。
1580年代初頭のベネチアを舞台に、実在の詩人ベロニカ・フランコの華麗な半生を映画化したラブ・ストーリー。1583年、商業都市として栄えたベネチアだが、女性は男性の所有物としてしか扱われていなかった。ベロニカは青年貴族マルコを愛していたが、身分の違いを理由に結婚できなかった。当時のイタリアでは、お金に恵まれない女性に読書や教養人としての道が開かれ、特権階級の男性とも接触でき、大金を手にできる道はコーティザン(高級娼婦)になることしかなかった……。
(以上、「Yahoo!映画」より)
ベネチアの退廃的な雰囲気と突き刺さる名言
ベネチアは「沈みゆく街」として知られており、のちにトーマス・マンの『ベニスに死す』(ヴィスコンティ監督の映画にもなった)でも退廃的な雰囲気が描き出されていました。
その雰囲気はマンの小説が発表された20世紀初頭から始まった話ではなく、ルネサンス時代から延々と続いていた伝統だったようです・・・。
この映画のおよそ100年ほどあとにヴィヴァルディが活躍し、これまた退廃的な(というか、底抜けに明るい)曲をたくさん発表します。彼の作品を演奏したのは、勤め先である女学校の生徒たち。
身寄りのない子供(ベネチアに立ち寄る船員たちが残していった子供たち。つまり・・・。)に教育を授けようとしてピエタ慈善院付属音楽院が設立され、教養の一環として音楽を教えていたのでした。
ベネチアははるか昔からそういう雰囲気の街でもあったようです。
そのベネチアを舞台にした『娼婦ベロニカ』。
「悔いの残る生き方は地獄よりも残酷だわ」。という名言は、それが当時の女性の置かれた社会的な立場を踏まえると――そしてベロニカが実在の人物だったことを思うと――いっそう痛切に響く言葉ではありませんか。
人生と後悔。生きていると後悔するもの?
「何歳まで生きたかは重要ではない。いかにして生きたかが重要だ。」
これはエイブラハム・リンカーンの言葉です。
同じくアメリカの大統領になったビル・クリントンの自伝を読むと、自分の失言や失敗、やるべきだったのにやらなかったことで後悔している記述が多いのが目立ちます。
アメリカをあれほど繁栄させた大統領ですら、こんなに後悔だらけの人生だったなんて、ちょっと驚きます。
それ以上に、「だったら自分だっていくらでも失敗してもいいんじゃない?」そう思えてしまいます。不思議なものです(彼の自伝はそういう明るいタッチで書かれていて、読むと力が湧いてきます)。
「悔いの残る生き方は地獄よりも残酷だわ」という言葉を知ったのはつい最近のことですが、「善く生きるとは何か」という問いへの答えともなるものだと思いました。
誰の人生にも終わりがありますから、一瞬一瞬をなるべく悔いのないように過ごしていきたいと改めて思いました。
追記:この映画はAmzon プライムビデオでも鑑賞可能です
「悔いの残る生き方は地獄よりも残酷だわ」という突き刺さる台詞を残した名作『娼婦ベロニカ』は内容が内容だけに家族で見るような作品ではありませんが、一人でじっくり鑑賞すべき作品です。

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