テオドール・クルレンツィス。1972年、ギリシャ生まれの指揮者で2018/2019シーズンより南西ドイツ放送交響楽団の首席指揮者に就任することとなっています。

来日公演は朝日新聞でも演奏会評が記事になるほどの評判でした!

異形のカリスマ指揮者、テオドール・クルレンツィスがムジカエテルナと初来日した。彼は単なる「話題沸騰のニュースター」どころではない。46歳にして既に世界のクラシック・ファンの話題をかっさらうカルト的存在である彼は、もう音楽界をはるか超えた一つの社会現象だ。
(https://www.asahi.com/articles/ASM2J7VMTM2JUCVL01C.htmlより)

・・・とあります。私も記事全文を読んでみましたが、正直文章で音楽を語るのはハードルが高いのかどんな演奏なのかはっきりとは分かりませんでした・・・。
ただし、わざわざ全国紙で取り上げられ、しかも1面に「◯面に演奏会評」と告知しているくらいですから、日本の聴衆に与えた文化的影響力はなんとなくうかがい知ることができました。

さて、ありがたいことに彼の得意曲であるチャイコフスキー『交響曲第6番 悲愴』のプレビュー動画が公開されていました!

私もこの指揮者のことはノーマークでした。早速動画で演奏の様子を確かめてみました・・・。

 

精緻なアンサンブル、ムジカエテルナ

結論から言うと、よほど弦楽器の音程に注意を払っているのか音の純度が高いです!
動画をご覧いただければ、オーケストラがまるでひとつの楽器のように鳴り響いていることが感じ取れると思います。

かつて、ジョージ・セルが指揮したクリーヴランド管弦楽団が「室内楽的な、純度の高いアンサンブル」と評されていましたが、セルに引けを取らない完成度になっていると思います。

私自身もヴァイオリンを弾きますが、こういうオーケストラの一員として演奏できたら素晴らしい音楽体験だろうと思います!!

かつてセルを批判する人は「純度が高いが機械的だ。アメリカの楽団にありがちだが、音符の背景には何もない」と言っていました。

クルレンツィスの演奏は、さすがに21世紀的というのか現代的というのか、アップル製品のデザインを思わせる精巧さ、ある種のスマートさ(冷たさ?)が感じ取れます。
このあたりがセル風でもあり、しかし精緻なアンサンブルには音楽への確かな情熱が感じられます。

この演奏はペルミというシベリアのオーケストラ、ムジカエテルナ。
まさかこんなところにこんなレベルの高いオーケストラがあるなんて・・・。

Perm_in_Russia


正直、在京オーケストラでこういう音色が出てきたのを聴いたことは1度としてありません・・・。

来日公演があることを完全にスルーしていた自分のアンテナの低さに後悔しています・・・。

もし「次」があるならば、雨が降ろうが槍が降ろうがコンサートホールに駆けつけなくては・・・。