これまで何度かTVでも取り上げられたことがあるようですが、ヴァイオリニスト・千住真理子さんの練習方法がとてもストイックなので記事化してまとめておきたいと思います。

一体どんな練習をしているのでしょう・・・?


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千住真理子さんの子供の頃の練習

千住真理子さんのお母様である(そして作曲家・千住明さん、日本画家・千住博さんの母でもある)千住文子さんの著作『千住家の教育白書』には、小学四年生のときにコンクールに出場することになったときの母娘二人三脚での練習について、こう書かれています。
楽譜を並べる。私たちはいつも二冊ずつ本を持っていた。一冊はマリコのもの、後の一冊は私が持つように先生から教育されており、練習には私の楽譜を使うことにした。同じ系列のテクニック、音符の並びをクレヨンで塗ってみる。さらにその中の幾つかのフレーズを記号分けにする。これで第一の準備完了というわけだが、初めてのことなので、夫に相談した。

「統計学的処理はどうかしら?」
「それは頭のよいやり方だね。カードで分けると良いかもしれない」
この「夫」は当時慶應義塾大学理工学部教授だった千住鎮雄さんで、経営工学を専門としていました。
演奏すべき曲を頭から練習するのではなく、テクニックごとに分解するという方法を採用していたようです。

また、千住鎮雄さんは円グラフで一日どんなことをしたかを描いて見せ、日々の時間の使い方の大切さを子どもたちに教えていたようです。(工場で働いたことのある方なら「あ、これってインダストリアル・エンジニアリングじゃないの?」とお気づきのはず・・・)

千住真理子さんの練習時間はどれくらい?

小学校のとき出場したコンクールは、二度目の出場で一位を獲得。

そのことがきっかけでヴァイオリニスト・江藤俊哉さんと共演し、プロ活動を開始。江藤さんにはそのまま師事することになりました。
学業とプロ活動をどうやって継続していたのか、当時「天才少女」とマスコミに騒がれた千住真理子さんは『ヴァイオリニスト20の哲学』でこう書いています。

「私は天才じゃないのにどうしよう」という不安から、「なんとか天才を演じよう」と思い始めたのです。(中略)
学校のない日は一日十四時間、学校のある日はその約半分、時間を余すことなくさらい続けました。
子供の頃に身に着けた、曲をパーツごとに分解するという方法は今も継続しているようです。
そのパーツの、一番難しそうなところから練習を開始しているとか。

「一番苦手な箇所」は、「必ず毎日練習する」ことになるわけです。毎日必ず最初にていねいに練習すれば、そのうちその苦手だったはずの箇所が「一番得意な箇所」になっていきます。そうなれば、順位が入れ替わり、ふたたび今度はその時点でもっとも弾きにくいパーツを練習順位一番に持ってくる、という繰り返しで練習していきます。

うーん、ものすごく合理的かつ徹底的です。これを繰り返せば確かに上達は早いでしょうね!

おわりに

私もヴァイオリンが一応弾けますが、最初から弾いて同じところでつまづくということを繰り返しています! だめなやつですね!\(^o^)/オワタ

もしなにか楽器を練習しているという方、「パーツごとに分解する」方法を取り入れてみてはどうでしょうか。もちろん受験勉強などにも応用できそうです。

ちなみに、『ヴァイオリニスト20の哲学』は他にも集中力の身につけ方や先生との付き合い方など、色々なことが分かりやすく書かれており、目標達成に向けての努力の方法が盛りだくさんな内容になっています。
ここまでプロの上達ノウハウを公開していいんでしょうか!? 


千住真理子さんのCDは数多くありますが、個人的には『センチメンタル・ワルツ』の丁寧な歌いまわしが素敵だと思います。