新川直司先生の名作『四月は君の嘘』でもヒロイン・宮園かをりが演奏する名曲、サン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」。
こちらは大変華麗な技巧を散りばめた曲として知られています。

フィギュアスケートでも三原舞依選手が使ったことでも知られています。



私はヴァイオリンを弾きますが、なかなかこの曲にたどり着けずにいます。
というか弾ける人いるのか・・・? まあいるんでしょうね。
私の周りでは誰もいませんが・・・。とはいえヴァイオリニストの定番レパートリー。

したがって色々なヴァイオリニストがCDを発売しています。

ところが、ヴァイオリニストは一人ひとり音色が異なります。
肉体的な条件だったり、使っているヴァイオリンや弓、弦の種類、弓使いや指づかい、その組み合わせ・・・。
まさに音色は無限にあります。

となると「序奏とロンド・カプリチオーソ」でおすすめのCDはどれでしょうか?
独断と偏見でご紹介します。

「序奏とロンド・カプリチオーソ」でおすすめのCDはどれ?


オイストラフ

こちらはフランスの指揮者、シャルル・ミュンシュ(小澤征爾さんの師匠)が録音したサン=サーンスの交響曲『オルガン付き』の余白にソ連のヴァイオリニスト、オイストラフの録音が収められています。
CDそのものは廃盤になっていますが、アマゾンで中古盤が安く購入できます。



ハイフェッツ

録音が古いですが、ハイフェッツは20世紀最高のヴァイオリニスト。
プロ中のプロ、素晴らしい技術を技術で終わらせず、自分の表現に活かしている、まさに不世出の芸術家!
すべてのヴァイオリン学習者は参考録音として持っていて損はありません。

実際問題、この2枚のうちどちらかを持っていれば「序奏とロンド・カプリチオーソ」のスタンダードといえる演奏は押さえたといっても良いでしょう。

エルマン

これはすごく趣味性の強いチョイス! 音の出し方が19世紀的というのか、最近のヴァイオリニストでこういうポルタメント(という音のずり上げ)、独特のヴィブラートは聴かれなくなりました。
いわば途絶えてしまった伝統。

それもそのはず、エルマンは1891年生まれで活動のピークは戦前。
1967年没。来日したこともありました。

先生の前でこういう弾き方をしても褒められないでしょうが、私はこういう音が好きです!


私はボックスセットで購入しましたが、YouTubeでも「序奏とロンド・カプリチオーソ」はお聴き頂けます。もしこの懐古的な味わいが気になる方は、20枚組ですが一生ものの音楽体験になるはず・・・。
一気に聴くというよりも、折に触れて彼の弾くチャイコフスキーやブルッフのCDを取り出すような感じで鑑賞すればよいと思います。




篠原悠那

彼女は『四月は君の嘘』の宮園かをりのモデルアーティストとなった方で、私もトッパンホールで彼女のリサイタルを聴いたことがあります。
イザイ(というベルギーの名ヴァイオリニスト)がヴァイオリンとピアノ用に編曲したショパンの「バラード第1番」もプログラムに載せられており、意欲的な演奏会でした。

こちらのCDは、「序奏とロンド・カプリチオーソ」に加えて、「バラード第1番」も含まれています。
ある意味、宮園かをりの現実での演奏と言っても過言ではないでしょう。

ちなみに、イザイが編曲したショパンの「バラード第1番」は、楽譜が販売されています。

とはいえめちゃくちゃ難易度は高いです。
ぱっと見たところ、ブルッフやメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を弾けるくらいの腕がないと人前で演奏するのがはばかられるほど・・・、と言えば大体の難易度はご想像頂けるのではないでしょうか。



おわりに

「序奏とロンド・カプリチオーソ」は有名な曲だけに様々なCDが発売されています。

他にも紹介しきれなかった個性的な録音は数多くありますので(例えばティボーやナージャ・サレルノ=ソネンバーグなど)、ぜひともいろんな演奏を訪ねて頂ければと思います。