東京では毎年たくさんの展覧会が開かれています。
2018年秋~冬にはルーベンス、ムンク、フェルメールといった巨匠たちの作品が東京にやって来ています!
美術ファンにとってはまさに嬉しい悲鳴といったところではないでしょうか。
これを見るだけでも一苦労ですね!

ところが展覧会に行くとどうしても「疲れた」「何を見たのか記憶に残らなかった」という経験をすることもあります。

自分なりにその原因と対策を考えてみました。

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展覧会で疲れる理由。まず混んでいる

正直な話ムンクやフェルメールは誰もが見たいと思っています。
といっても休みの日つまり土日に展覧会に出かけるとものすごく混雑しています。

結果的に人混みのなかをベルトコンベアのように人の波に運ばれていた・・・なんていうこともあります。

特に背の低い方や女性の方、それにあまり目の良くない方にとっては東京の展覧会は理想的な環境からは程遠い状態だと思います。
私もあまり背が高くないのですが、国立西洋美術館で開催されているルーベンス展では作品に近づくだけでも苦労しました。

「ルーベンスでさえこうなのだ。ならばフェルメールはなおさらだ」
そう思い、フェルメール展は断念しました。(昔オランダで見たことがあるので・・・。その時はアムステルダムもハーグも東京とは大違いでガラガラでした・・・。)

実際問題人混みの中にいるということはパーソナルスペースが侵食されているのと同じでもあります。こんな中にいると疲れるのは当然です。

展覧会で疲れる理由。混んでいる=じっくり見られない

というわけで人の波に流されながら干渉することになるわけですが、となるとじっくり見ることができません。
絵画の鑑賞の醍醐味は作品の主題を考えたり、その主題に対して人物や背景がどんな役割を果たしているか、画家は一つ一つの色を絵の具でどんな風にかき分けているか――こんなことを肉眼で確かめることにあります。

人混み中でそんなことするのは至難の業です!

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結局「単に見ただけ」になる

というわけで、東京の展覧会に出かけると知的な意味での鑑賞を行うことができず、「とりあえず見た」という既成事実だけができてしまいます。

こうなると全く記憶に残らない。

展覧会に出展されている絵は大体数十点はあるでしょう。

さてあなたは家に帰った後でそのうちいくつを思い出すことができるでしょうか。

おそらくほんのわずかだと思います。「ただ見た」だけの作品は記憶に定着しません。
この場合、せっかくムンクなりフェルメールなりの作品を目にしたとしても、作品とあなたの心には何の照応関係も成立しない。美的経験ができなかったということになります。

反面、一つの作品をじっくりと時間をかけて、心静かに鑑賞すれば、作品とあなたの心には照応関係ができあがります。それは作品が一流か二流かというよりもむしろあなたが作品とどう向き合ったかによるものではないでしょうか。

なるべく疲れないで展覧会の絵を鑑賞するためにはどうしたらいいか

これは私なりの方法です。若干裏ワザというか、普通の方法ではありませんが一応ご紹介いたします。

その方法とは・・・。

まず、朝一に並びすぐに入ります。
そしてダッシュで出口まで向かいます!

と言っても本当に美術館の外へ出るわけではなく、出口から入り口に向かって逆方向で鑑賞します。

そうすると20分ぐらいは誰もいない美術館のなかで、一人で絵画を鑑賞することができます。
大体真ん中あたりで先頭集団とぶつかりますが、それまでは美術館の中にあなたしかいない状態を作り出すことができます。

展覧会は主催者の狙いに則って構成されているので、それを逆から見ていくことになるというデメリットもありますが、「一人ぼっち美術館」というのもなかなか贅沢な環境でもあります。
これならしばらくの間は静かにじっくりと作品を鑑賞することができます。

もし機会があったらお試しください・・・。