少子高齢社会という言葉は何十年も前から予言されていました。
たとえば堺屋太一「団塊の世代」。


この本の終章は、定年を迎えた官僚が若手から、高齢者の増加と社会保障の行き詰まりを指摘されて言葉に窮するところで幕となります。
今から40年前の作品でありながら、現代の日本をおおむね正確に予想していました。

これからは日々多くの高齢者が亡くなる時代になります。

そんな中、エンディングノートというものが注目を浴びるようになっています。


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エンディングノートを書く芸能人。参考にしたい書き方

女優・財前直見さんもエンディングノートを作成したことで知られています。

「財産についてや治療の方針であったり、書くことはさまざまありますが、いちばん大事なのは“紙に書いて、ひとつにまとめておくこと”ですね。パソコンやスマホの中のデータは消えてしまうこともあるじゃないですか。だから紙に書くか、プリントアウトして保管しておくことですね」

 エンディングノートは、名前のとおり、“終わり”や“死”のイメージが強い。しかし、財前は、このように話す。

「“エンディングノート”という名前に、ネガティブな印象を抱いてしまう人も多いです。私の周りの高齢の方なども“(死んだときのことを書くなんて)縁起でもない!”って言ったり。若い人であればイメージができなかったり。でも、こういったノートは、“今から未来を見据えて生きる”ということを大事にするために、作ってほしいんです」

 いきなり死んだときのことを考えて、あれこれを書き記せと言われても難しい。

 財前は財産に関してなどを記したエンディングノートを作る前に、“未来への年表”を作ったという。

「ライフプランの入った年表ですね。年表の中に、《自分》《両親》《息子》のそれぞれ年齢も入れる。自分が何歳のとき、親は何歳で、息子は何歳。傘寿や米寿の親のお祝いがいつで、息子が中学生になるのがこのタイミングで、高校生になるのはこのときとか、ひと目でわかるようなものです。

 これを最初に作ると、人生計画が立てられる。このときはお金がかかりそう、ということもわかるからマネープランもできる。自分の年齢と子どもの年齢を照らし合わせて、ここまできたら自分でやって、とか(笑)」
(引用:MSN.com「財前直見、前向きな終活を語る『エンディングノートは“未来の幸せ”のためにすすめたい』 」)

ここからポイントを短くまとめると
・「紙」に書き出しておくこと
・病気、財産について書くこと
・未来に起こりそうな出来事を書くこと
この3つのようです。

とくに私は3つ目が大切だと思います。

エンディングノートの重要性とは

堺屋太一「団塊の世代」は日本の将来を予想していました。
ところが未来予想図というのは普通、外れるもの。予想もしないようなことが起こるからです。
ガンにかかったり、突然転勤を命じられたり、息子が留学したいと言い出したり・・・。

ではやらないほうがいいのか。
そうではなくて、未来を予想してああでもないこうでもないと考えることで「自分はあとどれくらい生きていられそうか。その間に、どれだけのことができるだろうか」「それをするために、何を残して、何を諦めるか」という価値観が明確になります。

私も漠然とエンディングノートを書きます

死ぬまでにやり遂げたいことは2つあります。
・フルマラソン完走
・バッハの「無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ」より「シャコンヌ」を演奏すること
この2つはぜひやり遂げたいと思っています(と公表した時点で「これからをどう生きていくか」をあなたに聞いて頂いたわけで、これもちょっとしたエンディングノートですね)。

だからこそ、休日はそれ以外に時間を割くのをやめてしまいました。
人とも会わない、遊びにも行かない・・・。おかげでお金が貯まったのは想定外でした。

エンディングノートは100円のノートや手帳さえあれば誰にでもでき、しかも生き方が定まってくるという便利なツール。
ぜひ「書くこと」を始めてみてはいかがでしょうか。人生は短いので、少しでも有意義に生きたいものですね。


参考文献:

生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)