先日、人気シンガーソングライター、miwaが競泳リオ五輪男子競泳の金メダリストである萩野公介選手と交際していることが報じられました。

可愛げのある歌声やしぐさ、そして10代、20代の女性の共感を呼ぶ歌詞の世界観などでも知られ、ギターの腕前もタッピング(ライトハンド奏法=ピックではなく右手の指先で弦を叩いてピコピコと音を出す奏法)を披露するなどなかなかのもの。

しかしその彼女は「あざとい」「女の敵」「女が嫌いな女」というネガティブな評判で語られがちでもあります。

このブログは「友だちいない研究所」。

「嫌い」「ぼっち」「友だちいない」のようなマイナスな言葉を見かけると、私はつい反応してしまいます。

そこで、なぜmiwaがこんなネガティブな評価なのか考えてみることにしました。

shitto_woman

miwaが「あざとい」と言われるようになったきっかけ

きっかけは映画「君と100回目の恋」で共演した坂口健太郎と登場した「ミュージックステーション」の一コマ。
「手が大きい」と言いながら坂口健太郎と手を合わせるmiwaの仕草が、女性視聴者の反感を買ってしまったようなのです。
その後も歌を歌うシーンで見つめ合ったり、その後も司会者タモリではなく坂口健太郎を見ていたりといった振る舞いが「あざとい」としてネット上で話題になりました。

その他にも自分の誕生日についての発言も不評です。
「誕生日になるって、気づいたのがお風呂に入っている時の11時55分くらいだったので、そのまま湯船の中で迎えました」というコメントに対して、

「彼氏いないアピールですか?別にあんたアイドルじゃないでしょ」
「身長の公表が149cmってのがあざとい 150cmでよくない?この子身長逆サバしてそう」

のようにネット上ではなぜか(本人のせいではないのに)身長にまで言及されてしまう・・・。


なぜmiwaは「女の敵」「あざとい」と言われるのか?

こうした男性ウケするであろう振る舞いが、女性にとってはナチュラルにカチンとくるようなのです。
思い出すのは、ある会社に勤めていた時の新人歓迎会。

3次会のとき、2次会までいた新入社員の女の子に対して、別の先輩女子が(本人が帰った後で)突然文句を言い始めたのです。
「あの子って、自分で可愛いって気づいているから、それを利用して男子ウケすることを言ったりするのが許せない!」
どうやら女子はこういう振る舞いを見るとどうしてもイライラしてしまうようなのです。

こういう光景を見ると、つい見つけてしまったこんなツイートを連想してしまいます。



このようなツイートを見て改めて考えると、「女子は協調的行動を重んじる。しかし(たとえうわべだけの関係であっても)協調を壊そうとする者に対しては排除の心理が働いてしまうに違いない」という仮説が浮かんできます。

「シャーデンフロイデ」(中野信子氏著、幻冬舎新書)という本には、人間は「愛」を感じる時にオキシトシンという物質が脳内に分泌されると書かれています。
ところが、愛情や共同体の絆が断ち切られようとすると、途端に脅威を排除しようとする「憎しみ」が生まれます。これもオキシトシンの作用です。

「いじめ」や「嫉妬」も、オキシトシンが分泌されることが背景にあります。
「愛」も「憎しみ」も同じ物質が関わって生成される感情なのでした。
ちなみにシャーデンフロイデとは、他人の不幸を喜ぶ感情のことを言います。

ここまでお読みいただければお分かりでしょう。miwaが「あざとい」などといって嫌われるのは、女子目線で言えば「非協調的行動」=抜け駆けを取るからであり、その狙いは男受けだと見なされるからです。

厄介なのは、こうした感情は普遍的なものなので、仮にmiwaへのバッシングが終息したとしても、第2、第3の「miwa」がスケープゴートになってしまうだろうということです。


まとめ

miwaがあざといと言われてよく批判されていることは知っていました。
本人はそのことを意識したのか、それとは無関係なのか最近はショートカットにしてイメージを一新したようです。
大学時代に若くしてデビューした彼女もそう遠くない未来に芸歴10年を迎えます。

私も何年か前にライブで実演に接したことがあります。曲を聴いてみて、20代の女性の心理を切り取った内容のものが多いと思いました。しかし20代の次は30代、40代と人は年を重ねます。
年を取るのも心の襞が細やかになるので悪いことではありませんから、彼女の音楽が一層深化してゆくよう、ファンも暖かく見守って頂ければと思います。


参考文献:シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感 (幻冬舎新書)