私はヴァイオリンを弾いている関係で、いろいろな弦楽合奏のCDも持っています。
弦楽合奏の曲ではとくに有名なのはチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」。

チャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」というよりもオー人事のCM曲と言ったほうが手っ取り早いかもしれません。



オー人事のCM曲であるチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」はどんな曲か

ピョートル・チャイコフスキー(1840-1893)は生涯で6つの交響曲のほか、「白鳥の湖」「くるみ割り人形」「眠れる森の美女」などのバレエ音楽、「ピアノ協奏曲第1番」「ヴァイオリン協奏曲」など多くの名曲を残しました。

濃厚なオーケストレーションやメランコリックな旋律美で知られる作風はまさに彼が生きていた19世紀後半という時代を連想させるものがあります。

ところが意外にもチャイコフスキーが尊敬していたのはモーツァルト。
モーツァルトは主にフランス革命以前の時代に活躍し、並ぶもののない気品のあふれる優雅な作品で知られています。
そのモーツァルトを意識してチャイコフスキーが1880年に作曲したのが「弦楽セレナーデ」でした。

「モーツァルトへのオマージュ」と自作を評するチャイコフスキーですが、重厚な序奏はまさしくチャイコフスキーの個性が刻印されています。

ちなみに「セレナーデ」とは「小夜曲」と訳されることもありますが、夕べの集いなどで演奏される、比較的小編成の合奏曲を指します。その他、恋人や女性を称える曲についても「セレナーデ」と呼ばれています。

Peter Ilyich Tchaikovsky
(チャイコフスキー。画像引用:ウィキペディアより)

その他の弦楽セレナーデはどんなものがあるか

イギリスを代表する作曲家で「威風堂々」などで知られるエドワード・エルガー(1857-1934)も「弦楽セレナーデ」を作曲しています。

この作品は彼のキャリアのうち比較的初期のものとされています。彼の円熟期の作品には大英帝国の繁栄やその華々しい時代の最後の輝きといった味わいがみられますが、「弦楽セレナーデ」は妻キャロライン・アリスへ贈られたというだけのことはあり、非常に愛らしい佇まいの作品となっています。



先に触れたモーツァルトの代表作である「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」も「セレナーデ第13番」と楽譜に記されていることから、これも弦楽セレナーデの一つです。
有名な曲でありながら初演の記録ははっきりと残っておらず、作曲の動機も分かっていません。

このような明るい曲を、父の死後わずか2ヶ月後に完成させることができるのでしょうか。
「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を耳にするたびに、私はモーツァルトの才能に驚きを禁じえません。



まとめ

このように、「セレナーデ」と呼ばれる曲は概ね明るく、気楽に聴くことができるものが多いのが特徴です。
夕食のとき、来客のときなどにCDを流してみると雰囲気が盛り上がりそうですね。


ご参考:小澤征爾指揮によるチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」とモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」をカップリングしたCDがあります。

チャイコフスキー:弦楽セレナード/モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク