「人は誰でも輝ける場所がある」。
よく耳にする言葉ですね。
営業に向いていなくても研究職がぴったりだったり、経理のような細かい作業に向いていなくてもイベントの企画に適正があったりとか。
そういう輝ける場所で正しく努力をすれば、誰もがその場所でヒーローになれる。
そのためには、ハンガリーのことわざ「逃げるは恥だが役に立つ」(戦う場所はちゃんと選べ)を実践しなくてはなりません。
でも変だぞ。
本当に誰でも輝ける場所ってあるんでしょうか。
もしそれが実在するとしたら、日本全国ちょっとしたヒーローだらけになっているのではないでしょうか。
「誰にでも輝ける場所がある」の盲点
「誰にでも輝ける場所がある」という言葉には盲点があります。
あなたはその場所でオンリーワンまたはナンバーワンであることが前提になります。
競争相手がいる時点でオンリー「ワン」ではありませんし、ナンバーツーになる可能性があります。
経済評論家の勝間和代さんは『「有名人になる」ということ』という本のなかで、自分の本がベストセラーになったのは競争相手がいなかったジャンルを攻めたからだと明かしています。
大事なのは、競争相手の有無です。たとえば、どんなに歌がうまく美人であっても、そのような人は数えきれないくらいいますので、たいへん競争が厳しい。いわゆる「レッド・オーシャン」です。すでに市場ニーズが満たされているところに参入しても、なかなか有名になることはできません。まず、競争相手がいないところ(「ブルー・オーシャン」)を見つけること、あるいは、競争相手がいたとしても、その競争相手に勝てる市場を見つけることです。
勝間和代さんは『お金は銀行に預けるな』がベストセラーになったのは、「競争相手がいないところに商品を入れたから起こったことでした」と当時を振り返ります。
しかし・・・。
なお、競争相手について、当初、わたしはほとんどいないと考えていたのですが、書籍においては、わたしが本を書き始めて約四年たったころから続々と現れはじめました。
思ったほど自分の本が売れなくなったのです。
調べてみたところ、自分の知り合いで、同じようにコンサルタント業をやっている人がやはり同じジャンルの本を出版していることがわかりました。
それまで自分しかいなかった市場が、いつの間にか3人で分け合っている状態になっていたのです。
売れなくなって当然ですよね。
勝間和代さんは、
有名人になる種をどんなに上手に見つけてそこで成功したとしても必ず数年後にはライバルが現れて市場を奪われてしまいます。ですから、「有名であり続ける」には、・いかに先行を保ちながら、・その市場に甘んじることなく、さらなる市場を継続的に開拓するかという能力も必要になります。
以上のようにまとめています。
私もこうツイートしました。
ぼっち@3_bocchi「誰にでも輝ける場所はあるはずだ!」
2020/06/28 16:27:24
という言葉は、
→ 輝いた → 目立つ → 競合が参入 → 終了
というマーケティングではありがちな事態を想定してないと思う。
「輝ける」場所で輝いても、「輝き続けられる」のは難しい
これは何も作家や評論家、芸能人に限った話ではありません。
会社づとめをしていても、営業だったり研究開発だったり、何かしら自分がいいパフォーマンスを示せば示すほど、いつの間にか誰かがこっそりベンチマークしていたりするものです。
そしてライバルに自分の持ち味をパクられ、さらに磨きをかけていたりして・・・。
だからこそ「輝いている」で安心してはならず、「輝いているな」という自覚を持ったら、「これをどうキープするか」をただちに考えなくてはなりません。
うーん、「白鳥は優雅に泳いでいるが、実は水面下で必死に足掻いている」みたいなお話ですね・・・。
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