世の中にはモーツァルトの作品だろうという扱いがなされていたのに、研究が進んで偽作だということが判明してしまったものもあります。

『ヴァイオリン協奏曲第6番』『同7番』がそれです。

私の手元にあるCDにも『ヴァイオリン協奏曲第6番 変ホ長調 KV268 (KV Anh. C14.04)[偽作]とはっきり書かれています。

昔はコンサートのプログラムにも掲載されることがしばしばあったようですが、偽作という評価が定まってからはほとんど目にすることが無くなってしまいました・・・。
本当なら偽作だろうが本物だろうが、いい作品ならどんどん演奏すればいいのにと思いますが、時代の流れでどこの会社で働いても「コンプライアンスが~」ですから、偽作をプロの演奏家が披露するには旗色が悪いのでしょうね。

昔は偽作説、真作説、そしてモーツァルトの作品を誰かが改変した説が存在していました。
現在では、『ヴァイオリン協奏曲第6番』はフリードリヒ・ヨハン・エック(1767-1838)とされており(と手元のCDのブックレットには書いてある)、確かによく聴いてみると「ほんとにモーツァルトか?」と思うような瞬間がところどころにあります。




『ヴァイオリン協奏曲第7番』もアロイス・フックス(1799-1853)の手によるスコアの写譜とウジェーヌ・ソーゼー(1809-1901)によるパート譜の写譜が存在し、ソーゼーはモーツァルトのオリジナル譜(と彼が信じたもの)から写譜したと主張しています。

それでもモーツァルトの自筆譜が見つかったというわけでもなく、信憑性には疑問符が付いています。



モーツァルトはヴァイオリン協奏曲を作曲するにあたり3番、4番、5番と作品を追うごとに飛躍的にクオリティを向上させています。

そこで6番、7番と聴いてみると、単品で聴く限りでは悪くはないものの、5番からの連続性がいまいち感じられないのも事実です。

しかし自分のレパートリーに加えようとするなら案外穴場かもしれません。
なにしろそこまで悪くない作品ですし、他の人があまり手をつけたがらないわけですから、ガラ空き状態。マーケティングでいうブルーオーシャンで競争など一切ありません。

「偽作を演奏するのはちょっとかっこ悪い」というプライドを捨ててしまえば(そこが難しいのだが)、「珍しい曲を演奏してくれる人」というポジションをゲットできるかもしれません。


え? だったらヴィオッティのほうがいいですって・・・??

いえいえ、こっちのモーツァルト(?)もカントロフの演奏だとなかなかですよ・・・。