新型コロナウイルスによる様々な負の影響のことをひとまとめにして「コロナ禍」と読んでいます。

読み方は「コロナか」。

「禍」という漢字を漢和辞典で調べてみると・・・。
goo辞書によると「わざわい。まが。ふしあわせ。」と記されていました。

つまり新型コロナウイルスによって引き起こされた人命の損失、倒産・失業の増加、学校の閉鎖など様々な出来事を「コロナ禍」と言えますね。

corona


「コロナ禍」の使い方

・このたびのコロナ禍が一刻も早く収束することを願います。

・コロナ禍により売上の減少を補填するために、A県知事はこれこれの施策を発表しました。

・コロナ禍により国境を越えた人の往来がぱったりと途絶えてしまいました。

このような使い方ができます。
とりあえず「コロナ禍」と言っておけば諸々の負の影響を連想させることができますから、なかなか便利な表現です。

歴史に見る「禍」

たとえばウィキペディアには「武韋の禍」という項目があります。
武韋の禍(ぶいのか)は、唐の高宗の死後、その皇后で後に帝位に即いて周を建てた武則天(則天武后)と、武則天の子でその後を継いだ中宗の皇后の韋皇后による簒奪の計画、およびそれにより起こった政治の混乱の総称。その後の玄宗の開元の治によって収束を迎え、唐は安定を迎えた。
これもやはり混乱を指して「禍」という言葉を用いています。

もう一つ、日本人なら忘れてはならない「禍」が・・・。

それは遠い昔のことではない。「黄禍論」という差別があった。

「黄禍論」(こうかろん)という人種差別が19世紀末~20世紀の欧米にありました。
英語ではyellow perilと言います。
コトバンクの解説によると、
《yellow peril》黄色人種が勢力を強くし、白色人種に与えるという災禍。アジア人排斥・抑圧の理論としてしばしば持ち出されたが、日清戦争後ドイツ皇帝ウィルヘルム2世が、三国干渉を正当化するために主張した黄禍論が有名。
というもの。
1940年には日独伊三国同盟が締結されましたが、その日本の同盟国であったイタリアのムッソリーニも1934年に日本人に対して黄禍論を表明しています。

1941年(昭和16年)には日本が真珠湾を攻撃し、太平洋戦争が始まりますが、その前からアメリカにはアジア人に対する反感がありました。
アジア、とくに中国や日本からの移民が現地人の雇用を脅かすというもので、なんだかトランプ大統領が言っていることとあまり変わらないですね。

1907年には日本からの移民が制限されるようになり、その頃から黄禍はアメリカではほぼ日本人によるものだという認識が広まります。そして1924年には排日移民法が成立してしまいます。
この法律により日本国内でも反米感情が高まり、太平洋戦争の遠因にもなりました。

おわりに

おそらく「コロナ禍」は歴史の本に掲載されるでしょうし、もしかするといつか大学入学共通テストに「疫病が世界の歴史に与えた影響」というテーマで出題されるかもしれません。

疫病に限らなくても「禍」という言葉でひとくくりにされる様々な歴史上の不幸が存在しました。

今(2020年5月現在)は外出を自粛するよう自治体などが呼びかけていますが、とりあえず自分の健康を喜びつつ、歴史の本を紐解いてみるのもいいかもしれません。
私はとりあえず時間ができたときはゆっくりとお風呂に入るようにしています・・・。