2020年4月25日に文庫版が発売された、乃木坂46・高山一実さんの小説『トラペジウム』。
この作品を高校の読書感想文の課題に使おうと思っている人もいるかもしれません。

そこで私なりに読んでみて面白いなと思った部分をメモしておきました。参考にしていただければ幸いです。

・・・あくまでも参考です。大学のレポートとかの場合は、丸パクリしてそれがバレると「剽窃」認定され、せっかく授業に出席していてもそもそもその科目の単位がゼロになってしまうので注意してください!

trapezium


『トラペジウム』で読書感想文に使えそうな表現その1

第三章では電気屋さんにいく場面があります。パソコン売り場へ向かおうとエスカレーターに乗る一コマで・・・。

全面鏡になっているエスカレーターでは各々の本性が見えて面白い。お洒落に疎そうなくるみも、いつも堂々としている華鳥でさえも、左右の鏡をチラッと覗いて自分の身なりを確認していたのを私は見逃さなかった。ここは人間の大半が隠し持つナルシシズムが解放される数少ないスポットだと思う。私はマイノリティーを誓い、顔を正面に固定するのであった。
そもそもこの小説はヒロイン・東ゆうがアイドルになろうというプロセスを描いたもの。
女子高生の心理を描写する場面がかなり見つかります。面白いのがこの部分ですね。
私の住む街にはビックカメラがありますが、やはりエスカレーターが鏡になっていてこういうことをやっている人を見かけます。(というか自分もやります。)

「おっ、この斜めからの角度! 俺って案外中島健人似じゃね?」
そう思ったりして、中二病みたいなことを誰もが考えていたりするものです。

エスカレーターで華鳥さえもがチラチラと左右を見て自分の姿を覗いている。
でも自分はストイック(?)にも正面を見るという点に面白い対比が出来上がっています。
しかも「マイノリティーを誓い」という書き方だと、「普段は自分も同じことをやっているけど」ということがなんとなく伝わってくるようではありませんか。

短い表現ながらもいろんなことが読み取れますね。

『トラペジウム』で読書感想文に使えそうな表現その2

第四章ではパンケーキを食べる場面があります。
数週間ぶりに舌の上に乗ったこいつは、やはり旨い。朝から甘味を控えてきた甲斐があった。一口目を咀嚼していると、欲していた当分がじんわりと身体中に行き渡り、熱をもたらす。その感覚は、降雪の日に露天風に浸かる瞬間と似ていた。
甘いものを食べている場面なのに、以外にも雪が降る日の露天風呂という表現を持ってきました。
口の中に拡がる甘みも、お風呂に浸かる幸せもどちらも身体にまつわる喜びですが、けっこうかけ離れています。
そこをあえて「熱をもたらす」という言葉を持ってきてくっつけてしまっている、この表現のたくみさ。

言うまでもなく作者の高山一実さんも乃木坂46の現役メンバーとして普段歌ったり踊ったりと身体で表現することが多いはず。
だからこそ肉体的な痛み、疲労感、その疲れがほぐれてゆくときの幸福感はおなじみのものなのかもしれません。
そういう個人的な経験が文章表現に昇華されているのかもと想像するのも面白いですね。

『トラペジウム』で読書感想文に使えそうな表現その3

『トラペジウム』では女子高生の日常が中心ですが、周りにいる大人たちのことも描かれています。
ある日東ゆうたちはボランティアで山登りに出かけます(第五章)。
そこで登場人物の一人、美嘉はボランティアグループの大人にこう言われます。
「美嘉ちゃん、聴いて。美嘉ちゃんはね、大切な”にこきっず”のメンバーよ。でもね、他に心の拠り所が見つかったら、喜んで手を振るわ。私が今美嘉ちゃんに望んでいることは気をつかうことでもボランティアを手伝ってもらうことでもない。」
当たり前の話ですが、高校生はいずれ就職したり進学したりという近い未来が訪れます。
人によってはまったく違う街で一人で生活を始めることもあるでしょう。
高校生のボランティアというのはいずれ終わることが自動的に確定しているものなのです。

そうでなくても「部活でキャプテンになった」「受験勉強に集中したい」など、ボランティアから遠ざかっていく理由は山のようにあります。
「心の拠り所が見つかったら、喜んで手を振るわ」という言葉は一見何気ないようでいて、これをサラリと言ってしまうということは、この大人は「学生がやってきて、いずれ去ってゆく」ということを複数回すでに経験していることを示唆しているようでもあります。

出会いには別れがつきものであり、これを繰り返して心の襞が細かくなり、そして大人になってゆく・・・。そんなことを伺わせる台詞ではないでしょうか。
(でもこういうことを高校の読書感想文で書くと、「なんで大人の心理を知ってるんだ? 人生先回りしているみたいじゃないか? さてはネットで検索して発見した大人の文章を使ってるんじゃないか?」と先生が気づくかも??)

『トラペジウム』で読書感想文に使えそうな表現その4

第六章は西テクノ高専の工業祭(ようするに学園祭)を訪問するというもの。
しかし工業の学校ということで生徒は男子ばかり。私は普通科高校の文系クラス出身だったので男子8名、女子25名みたいな感じだったのでちょっと想像がつきません。
さて模擬店で働く男子生徒の様子は・・・。
「400円ずついただきます。」
接客の口調は丁寧だが、高専男子はどうしてこうも目を合わせてこないのだろう。やはりクラスに女子が少ないからなのか。シンジと初めて会った時を思い出した。
もしかして女子って理系男子をこういうふうに見ているのでしょうか?
これは高専だけじゃなくて、高校生男子とか理系の大学生の男子とかもこういうふうに見ているんじゃないでしょうか? なんだかそんな気がします。これは読書感想文とはちょっと離れますが、一挙手一投足を見ているのは男子→女子だけじゃなくて女子→男子も当てはまるのかも・・・。

だとすれば自分のいないときに「〇〇君って、ちょっと・・・だよね」的なことを言われているのかも?? 「人のふり見て我がふり直せ」ということわざを思い出させる場面です!

おわりに

とりあえず『トラペジウム』の前半部分について、読書感想文で使えそうな表現やポイントを自分なりに列挙し、考えたことを書きとめておきました。後半部分については後日記事を作成したいと思います。
学校の課題で読書感想文が出されて『トラペジウム』を題材にしようかな、と考えた方に少しでも参考になれば幸いです。