大学への入学方法はいくつかあることは誰でも知っています。
一般入試、総合型選抜(AO入試)、特別入試(帰国生、留学生など)、社会人入試、編入学試験・・・。

しかし世の中にはほぼ100%の確率で合格できる入試もあります。

ご存知のとおり、学校推薦型選抜(指定校制推薦)です。

これは大学が指定する高校に「おたくの高校をうちの大学の指定校とします。うちの大学に入りたいと思っている、おたくの生徒を1人推薦してください」というもの。

学校推薦型選抜(指定校制推薦)ならほぼ100%の確率で入学できますから、本当に第一志望の学校ならこの制度を使わない手はありません。

とはいえうまい話には裏があるのが世の常。
普段大学入試の仕事をしている私がすこし解説してみたいと思います。

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学校推薦型選抜(指定校制推薦)でほぼ100%合格

学校推薦型選抜(指定校制推薦)の入試要項には、「全教科の評定平均が4.2以上で、本学を第一志望とする者」などといった条件が課されています。

この条件に基づき、ふさわしい人物を高校の先生が会議を開いて選考します。
もちろんこの大学へ進学したいと強く願っている学生が選考対象となり、評定平均などの他に高校内部での審査基準(たとえば英検2級とか)を満たしていれば推薦書を書いてもらえるでしょう。

他にも志望理由書や調査書を提出し、試験当日には面接を受ければほぼ100%合格です。
大学との相性が合えばこんなうまい話はありませんね!

学校推薦型選抜(指定校制推薦)にはデメリットも

1.転部・転科できない場合も
その学科へ進むことを強く希望しているということは、あとで転部・転科できないということが出願条件になっていることもあります。入学したあとで「しまった。こんなはずでは」と思ったとしてもそのまま卒業するか、仮面浪人して別の大学を受け直すかしかありません。

2.入学前教育があることも
大学にもよりけりですが、11~12月に合格し、入学までの数ヶ月にだらけてしまわないようにレポートなどの提出が課されることもあります。まあ大学入学共通テストを受ける手間を思えば楽勝ですけどね・・・。

3.成績がトラッキングされている
ほとんどの大学では、全ての学生は、どの入試で合格したのかや入試の席次、入学後のGPA(評定平均のようなもの)をトラッキングされています。

これがなんの役に立つのか? というと、それぞれの入試で優秀な学生が採用できているかを調べるためにやっていることなのです。

たとえば総合型選抜で入ってきた学生たちはおしなべて非常に成績が悪いということであれば、この入試を廃止しようか、といった議論を始めるわけです。

その他にも、何々高校の学校推薦型選抜(指定校制推薦)で入学してきた学生は毎年決まって成績が低迷しているといったようなことが調査の結果浮かび上がれば、来年から指定校を取り消そうか、ということも教授会などで検討されます。

一般入試なら「その人の資質ね」で片付けられてどうということはないのですが学校推薦型選抜(指定校制推薦)の場合はあなたの振る舞いが、指定校の取り消しという形で後輩に悪影響を及ぼすことがありうるのです・・・。
もちろん高校の先生もそのことを知っているわけで、「入学後もうちの高校の一番手として頑張ってくれるに違いない」という期待を込めつつ推薦書を書いているわけです。

4.たまに疑いの目で見てくる人もいる
一般入試のようなペーパーテスト抜きで入学できるのが学校推薦型選抜(指定校制推薦)。
ということは「本当に学力は十分なのか?」という目で見てくる人もいます。
学校推薦型選抜(指定校制推薦)の場合は先生が推薦書を書いているのであまりそういうことはありませんが、総合型選抜(AO入試)の場合は特に疑われがちです・・・。


したことは返ってくる

世の中には「したことは返ってくる」という言葉があります。
学校推薦型選抜(指定校制推薦)を使って入学した学生で、その後真剣に学業に取り組み優秀な成績を収める人もいれば、入学できただけで舞い上がり、あとは気の抜けたサイダーのようになり、勉強を怠ってあとで後悔する人も(後輩に迷惑がかかっていることを、この人は知らない)・・・。
どちらのケースも自分がやったことが良くも悪くも自分に跳ね返ってきていますね。

どの入試を経て入学するにしても、入学してからの努力もやはり大切です。
それでも、学校推薦型選抜(指定校制推薦)で推薦書を高校の先生に書いてもらって送り出して頂いたわけですから最低限後輩に恥ずかしくない学生になりたいものですね・・・。