新型コロナウイルスの感染拡大が日々報じられています。
東京都内で2日に確認された新型コロナウイルスの感染者が1日あたり最多の97人に上り、全国の総数は計3382人となった。都内の総数は684人となり1週間前と比べ約2・6倍に拡大。死亡者は、2日までに北海道や福井県で2人が亡くなり計82人になった。
(朝日新聞デジタル4月2日記事より)

私自身も職場でテレワークが始まるなど、身の回りの環境を実感しています。
とはいえ普段は自転車で通勤しているので自分だけテレワークとは無縁・・・。
ばかりか職場を封鎖することになっても「必要最小限の運営」のために出勤する係として指名されそうな予感・・・。

周りを見渡していると、ニュースは気づけば新型コロナウイルスの話でもちきり。
誰も桜を見る会やカルロス・ゴーン逃亡のことを言わなくなりました。
(マスコミも本気でこのことを追求したかったわけではないのでしょうね。ということは新型コロナウイルスも・・・?)

私はといえば普段通り朝起きてヴァイオリンを練習して仕事をしてジョギングしてまたヴァイオリンを練習して寝て起きてヴァイオリンを練習して仕事をしてジョギングしてヴァイオリンを練習して寝て起きて・・・。といういつもとまったく変わらない生活。

このブログは「友だちいない研究所」。
いつも友だちがいないぼっちなので休日も誰とも会うことがなく、通勤も電車とは関係ないので新型コロナウイルスの影響はあまりありません・・・。

それでもニュースが悲観一色だと気分までネガティブになりがちです。

そこで私は普段とくに最近、ある考え方を繰り返し心に言い聞かせており、平静を保つようにしています。

その考え方とは・・・。

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新型コロナウイルス。冷静になるための考え方

このブログでは何度か取り上げたマルクス・アウレリウスの『自省録』
マルクス・アウレリウス(121-180)はローマ帝国の「五賢帝」と称せられる皇帝の一人。

ストイックの語源でもある「ストア派」の哲学に傾倒し、新興宗教や疫病の蔓延、異民族の侵入への対応といった皇帝の務めを果たしながらわずかな時間をぬって書きとめられた自己反省の記録が『自省録』です。

以前も「友だちいない研究所」の記事を読んでくださった方は「こいつ、いつも同じこと言ってるな」と思ったかもしれません。

そうです。

なんとかの一つ覚えというやつです。

でも世の中には「大事なことなので二度言いました」という言葉もあります。

じつはマルクス・アウレリウスも同じようなことを何度も『自省録』に書き記しています。
ということは古代の皇帝も同じ失敗を繰り返し、同じ後悔を胸に抱き、少しでもましな人間になろうと努力していたということですね。

さて私が普段とくに言い聞かせている言葉とは・・・。
隣人がなにをいい、なにをおこない、なにを考えているか覗き見ず、自分自身のなすことのみに注目し、それが正しく、敬虔であるように慮る者は、なんと多くの余暇を獲ることであろう。目標に向ってまっしぐらに走り、わき見するな。
新型コロナウイルスに即して言えば、ニュースが何を言い、有名人がどう発言したとしても、それであなた自身に影響を与えるものではなく、健康でいられるか、新型コロナウイルスに感染するか、ただのインフルエンザにかかるか、あるいはそんなことを考えていてうっかりしていて交通事故の加害者になってしまうか・・・、とは無縁のことです。

結局のところ一市民が影響力を与えられるのは自分の手が届く半径1メートル程度でしかありません。
自分ができることに集中し、その内容について他人にはっきりと説明できるほど考え抜かれたものであれば、それで十分ではないか。現状に当てはまるように解釈し直してみれば、そう言っているようにも思えます。

私が持っている岩波文庫版には、上の言葉が書かれているのと同じページに次の言葉も掲載されています。
あたかも一万年も生きるかのように行動するな。不可避のものが君の上にかかっている。生きているうちに、許されている間に、善き人たれ。
人の命は有限である。だからこそ、「いま」を大切にせよ。マルクス・アウレリウスはそう言いたいわけです。
新型コロナウイルスに感染し、あっという間に症状が重くなり、かと思えばそのまま亡くなる可能性も否定できません。(感染するという点だけでも現在の感染者数を日本の人口で割り算してみるとかなり低い確率ですが。)

マルクス・アウレリウスはこうも書いています。
笑止千万なことには、人間は自分の悪を避けない。ところがそれは可能なのだ。しかし他人の悪は避ける。ところがそれは不可能なのである。
自分の外にあるものはコントロール不可能な反面、自分の悪・・・例えば怠け心とか余計なニュースを見てしまい、かえってイライラしてしまうこととか・・・は避けようと思えば避けられます。

新型コロナウイルスの一連の騒動で「動揺するような情報とどう向き合うのか」「私はどう生きるのか」「社会に対してどうやって貢献するのか」という問いが改めて私の心のなかに浮かび上がってきました。

私自身も一市民であり、直接この問題を解決するような能力はありませんがせめてどのような情報に接しても動揺することのないようにありたいと思います。





私が持っているのは神谷美恵子訳ですが、NHKの「100分de名著」で『自省録』が取り上げられたこともあり、ベストセラー『嫌われる勇気』で一躍有名になった岸見一郎さんが解説したテキストも販売されています。
こちらも岸見さんの視点からわかりやすくマルクス・アウレリウスの哲学をときほぐした素晴らしい入門書になっています。