ぴえん。

これは女子高生を中心に2019年から使われ始めた言葉です。
日常会話ではあまり口にすることはありませんが、主にSNSで使われていますね。
ちょっとした悲しさ、嬉しさを表現したいときにつかうのが「ぴえん」。
(泣)の代わりにつかうことができ、だいたいの場合は「ぴえん」の後に何かしらの顔文字が付いてきます。

しかしぴえんからの派生語でしょうか。うれぴえんという言葉も聞かれるようになりました。
初代プリウスから二代目プリウス、コロナウイルスから新型コロナウイルスに進化するようなものでしょうか(違)。



最近では山口真帆さんがぴえんを多用しており、SNS上ではぴえん祭りになっているとか。

元NGT48の山口真帆さんが自身のInstagramのストーリーで、質問スタンプに「ぴえん」とだけ書いて、ファンから回答を募集。全国のファンから、様々な「ぴえん」が届けられ、山口さんも「ぴえん」を返し、大盛り上がり。その様子は、さながら「ぴえんまつり」状態になっています。

(中略)

「今日、好きなひとに初めてキスしちゃったぴえん」と報告したファンに、「なにそのぴえんだかきゅんだか分からないエピソード!!きゅんぴえんじゃん」と、胸キュンぴえんを返したりするなど、ファンも山口さんも「ぴえんまつり」を楽しんでいる様子でした。次はどんなまつりが開催されるのか?楽しみですね。
(https://otakei.otakuma.net/archives/2020022008.htmlより)

話を戻しますと、ぴえんからうれぴえんに進化・派生していくのは言葉の移り変わりを早回しで見ているようでなんとも興味深いではありませんか。
なにしろ「ぴえん」すらごく最近生まれた言葉です。

そこから1年足らずでうれぴえんが登場するなんて、4年くらいでモデルチェンジする自動車の世界ではありえないスピードです(比較の対象がおかしいといえばそうなのですが)。

いろいろな可能性を秘めた「ぴえん」

「悲しい」「嬉しい」などの形容詞には、通常ひとつの意味しかありません。
しかし「ぴえん」は擬音語めいている一方で悲しそうなニュアンスがこもっているという点で、しかも顔文字とセットで悲しみ以外のニュアンスも付け加えられるという点で、案外マルチに使える表現なのかもしれません。

大阪教育大学・井上博文教授は「ヤバい」とう言葉についてこう説明しています。

「ヤバい」という言葉はよく使われています。もともとは、寝坊した時や電車に乗り遅れそうな時のように、焦ったり、追い込まれたりした様子を表す言葉でした。しかし現在では、おいしいものを食べたり、きれいな風景を見たりした時にも使います。つまり、よい状況と悪い状況の両方で使用しているのです。「ヤバい」は自分の想定を超えた場合の言葉に変化し、言葉自体で状況を判断するのではなく、文脈で判断する必要があるのです。「このケーキ、ヤバい」という文だけでは、おいしいのかまずいのかわからないので、前後の文脈で判断するのです。これは日本語の持つあいまいさの伝統の流れをくむ言葉であるとも考えられます。
(https://yumenavi.info/index_pc.aspx内「講義07702」より)

「ぴえん」や「うれぴえん」も同じことが当てはまるのではないでしょうか。

この記事冒頭に引用した「ぴえん祭り」は嬉しかったり悲しかったりと、それぞれの人が思い思いのニュアンスを込めながら使っています。

さて、うれぴえんは色んな意味のある「ぴえん」を「嬉しい」に特化して使っているという点で「ぴえん」の深堀り進化系とも言えるでしょう(?)。
もちろん「かなぴえん」「おこぴえん」「せつなぴえん」という使い方も(使っている人がいるかどうかは別として)、言ってしまえばきっと伝わるはず。

これはやはりぴえんという言葉に様々なニュアンスを託すことができるという点で、女性の間では「ヤバい」に匹敵する便利ボキャブラリーとも考えられるのではないでしょうか。

これは私の勝手な考察ではありますが、「ヤバい」は色んな場面で使えるからこそここまで普及したわけですし、であれば同じことが当てはまる「ぴえん」も将来「ヤバい」と同等の市民権を得ているかも・・・。しれません・・・?