ヴァイオリンのペグが勝手に回るからと言って、木工用ボンドをペグの穴に流し込む。
どうだこれで固定されただろうドヤッ!

ヴァイオリンの駒の角度がずれるからと言って、木工用ボンドで固定!
どうだこれで角度はいつも一定だドヤッ!

ヴァイオリンの側板が剥がれたからと言って、木工用ボンドで補修!
どうだ塞がったぞドヤッ!

という人がいるらしいのです。(某交響楽団のコンサートマスターが「目撃談」としてそういうお話を某所でしていました。)

そのお話を聞いていると、ふいに小学校のとき、何でもかんでも木工用ボンドでくっつけてしまうという奇妙な同級生がいたなあと昔のことを思い出してしまいました。(その後彼は「人類は月に行ってない」と主張するようになりました。)

さてヴァイオリンに不具合があるからと言って、木工用ボンドは絶対に使ってはいけません!

bondo


ヴァイオリンはニカワで接着されている

ヴァイオリンの表板、側板、裏板はニカワ(獣類の骨・皮・腸などを水で煮た液を、かわかし固めたもの)で接着されています。

これは熱を加えたり、湿度を上昇させたりすることで簡単に剥がすことができます。
古い銘器と言われるヴァイオリンが今なお現役で使われている理由は、簡単にメンテナンスできる仕組みが採用されているからでもあります。

別の角度から言うと、気候条件が悪いとヴァイオリンはパカッとどこかが剥がれたりすることもあります。
だから木工用ボンドでくっつけてしまえ・・・、いえ、剥がれてしまうというのは、ひび割れる前に剥がれてくれた(電気製品で言うなら火事になる前にヒューズが切れて電源が落ちてくれた)ということです。

剥がれやすいニカワが採用されているというのは、つまりそういうメリットがあるのです。

ちなみに駒の角度がずれるからと言って木工用ボンドで止めてしまうのもNGです。
これだと弓と弦の摩擦が駒を通じて表板~魂柱~裏板に伝わりません。駒でせき止められてしまいます。

もしヴァイオリンに不具合を見つけたら

ニスが剥がれた、凹み、傷が見つかった・・・、などの不具合は素人では修理せず、当然ですが職人さんのいるお店(できれば専門店)へ持ち込みましょう・・・。

間違っても自分でニスを塗ったり、木工用ボンドで固めたりと素人修理をしないようにしてください。
そもそもこれまでやったことがない作業を、楽器を使って初めてトライしてみる(楽器をリスクに晒してもいい)という発想を持った時点で性格的にヴァイオリン演奏に向いていない可能性もあります・・・。