日向きょう先生の漫画『羽柴くんは152センチ』。第3巻で完結です。

自分の身長が155センチ位なので、この作品には共感をもって読み進めることができました。

大ざっぱに説明すると、身長が152センチの主人公・羽柴優希と彼が片思いしている高身長女子・望月夏との間で繰り広げられるラブコメです。
第2巻は羽柴くんと夏の距離が縮まり・・・、というところで終わり。

第3巻では二人の思いがどこへ行き着いたのかが描かれています。(以下、ネタバレがあるのでご注意ください。)


自分の気持ちに向き合った二人

普通は男の子のほうが背が高く、女の子のほうが背が低いというのが一般的です。
この作品ではその関係が逆になっています。

羽柴くんはそのことをとくにコンプレックスとして悩んでいる様子ではなく、むしろ背が低いことでアイドル的に扱われる場面がところどころに描かれています。

ところが、第3巻である事実が明かされます。
夏休みのある日、ちょっとしたトラブルを二人で経験したあと、羽柴くんは夏にこう語ります。
(小学校の)高学年になって 周りより背が伸びなくて 
見た目も中性的で 照れとか戸惑いの裏返しって からかったりとか仲間外れとか そういうふうになっちゃうんだよね
・・・でも 夏が可愛いって言ってくれたの思い出して いいって言われたこと コンプレックスにするの嫌だなって思って そのまま踏ん張ってみたんだ
そしたらほめられる事とか いいねって言ってもらえる事増えて 周りの人たちのことも 自分のことも 好きになれた 
だから正解だったよ ありがとう夏・・・
天真爛漫な羽柴くんの性格は生来のものではなく、夏がいたからこそのものでした。

夏は彼が持っていた自信はもともとあるものではないことを悟ったのでした。

夏はその後で部活の後輩(女性)から告白され、
大好きな人たちが こんなに想ってくれてるのに わたしは自分の なにを見てたんだろう
という思いに至ります。
彼女は彼女なりに自分の高身長をコンプレックスとし、「わたしなんか」という気持ちを抱えていました。
しかし周りの人たちが自分の価値を認めてくれていることに気づいた今、彼女は自分の心に素直に向き合うことができるようになったのでした。(これを人間的成長と言わずしてなんと言うのでしょう?)

2学期が始まり、ついに彼女は・・・。
羽柴のことが好きです!!
羽柴がさんざん わたしを大事にしてくれちゃったおかげで 今自信しかないから!
こうして二人の間はただの友人ではなく、カップルという関係になったのでした!!

自分に自信を持つことの大切さ

背が高い、低いというのはコンプレックスになりがちです。
しかし「背負えない試練は与えられない」という言葉があります。

羽柴くんは幼い日の夏の言葉に、夏は羽柴くんの姿に自信を与えられ、一歩踏み出す勇気を得ています。
自分の悩みから逃げ出さず、悩みが与えてくる「問い」に向き合ったからこその、この結末。
二人がカップルでいる姿からは自分と向き合って生きることへの肯定感すらうかがわれるようではありませんか。

小さな魔物に捕らわれた巨人は その瞳に映る自分をみつけて はじめて世界を知ったのでした
本編はこの言葉で結ばれています。
すでに働いている方なら何かの折に実感することがあると思いますが、人は一人で完結するものではなく、「同伴者」がいて初めて社会のなかでの自分の居場所や価値といったものを悟り、自信をつかみとる、そういう生き物のようです。

『羽柴くんは152センチ』では自分に自信を与えてくれる人の大切さが間接的に描かれており、ラブコメにふさわしい爽やかな読後感を残します。

自分に自信が欲しくなった時、是非ひもといてほしい作品です。


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