2019年12月放送のNHK番組『昭和の選択 「山本五十六 開戦への葛藤 ~“避戦派”提督は なぜ真珠湾を攻撃したのか~」』に出演した歴史家・磯田道史さんが「戦争と相場は知られたら終わり」という短評を真珠湾攻撃に寄せて発言しました。

これは、真珠湾攻撃が航空機を使って停泊中の艦隊を奇襲攻撃するという、戦史上前例のない戦い方で大成功を収めたことを評して言ったものです。

確かに当時は航空機の可能性というのはまだまだ知れ渡っておらず、航空機の攻撃で戦艦が沈没してしまうというのは太平洋戦争が始まるまで見られない事例でした。

前例のないことに血道を上げ、しかも歴史に残る戦果を上げた山本五十六の作戦は、今なおTV番組の題材になるほどのインパクトを残しています。

それにしても「戦争と相場は知られたら終わり」という言葉は全てに通じるものがあると感じましたので記事として書きとめておきたいと思います。

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磯田道史さんの名言「戦争と相場は知られたら終わり」は普遍的である

例えばある作戦が大戦果をあげた場合、どの軍隊もそれを真似しようとして同じ様な手法で戦おうとするでしょう。
結果的にその対策もどうするかがセットで検討されるわけですから、真珠湾攻撃のような奇策は2度と同じ成果を上げられないと考えるべきでしょう。
その意味でたしかに「戦い方は知られたら終わり」です。

同じく、「相場」も同じことが言えるようです。
2年ほど前の仮想通貨ブームでは、ビットコインを始めとする仮想通貨を買えば確実に儲かるという情報が2017年10月ごろに知れ渡り、12月~2018年1月にピークを迎えました。

ところが知れ渡ってしまったことが終わりの始まりで、「ここがピークかもしれない」という心理が売りを招いたのか何なのか・・・、売りが売りを呼び、バブルはあっという間に崩壊。
ひところ200万円を越えたビットコイン価格は2019年12月現在、72万円ほどまで低下しています。

「相場」という言葉は「儲かるビジネス」と置き換えてもいいでしょう。
2014~2016年頃のことですが、ネットビジネス界隈ではアフィリエイトという手法で収益をラクに得られることが知れ渡りました。
アフィリエイトとは簡単にいうと、そのサイトを経由して商品を買うと「紹介手数料」のような形で運営者に一定の金額が入るというものです。

その結果、2016年頃までにはGoogleで「FX」「クレジットカード おすすめ」「商品名 口コミ」「英会話 独学」など、ビジネスに結びつきやすい検索キーワードでは、これらの言葉で意図的にヒットしやすく対策を施したサイトが検索上位を占めるという現象が発生しました。

しかしそういうボーナスタイムはあっという間でした。
Googleは検索結果が不自然なものになっていることを察知し、「健康(医療)とお金(資産運用)」絡みのキーワードでは公的機関(厚労省など)や公式サイト(銀行など)の検索結果を上位表示させるよう優遇し、逆にアフィリエイトビジネス系サイトは検索下位へ飛ばすというアルゴリズムを実装しました。

この影響で2018~2019年は個人で運営しているネットビジネス系サイトが数多く廃業した模様です。

このように「相場は知られたら終わり」というのは、現代のビジネスでも十分通じる言葉だと言えるでしょう。

もちろんこれは「タピオカ」などの流行り物にも言えます。
今は芸能人が続々とYouTubeに参入していますが・・・、おそらくこれもじきに「(ラクに稼げると)知られたら終わり」のフェーズにたどり着く日が1,2年のうちにやってくるのではないか・・・。
私はそう考えています。

もしYouTuberになって一旗揚げたいという方は、5Gが実用化されると言われている2020年頃がひとつの節目かもしれません。
それまでに先行者利益を大量にゲットできているかどうかが、食べていけるかどうかの境目になっているのではないでしょうか?


追記:記事冒頭でご招待したNHKの番組はNHKオンデマンドでご覧いただけます。(サイト訪問時期によっては配信終了している場合がありますので、ご了承ください。)