私はクラシック音楽を20年以上聴いており、たびたびサントリーホールなど様々なコンサートホールに足を運びます。
ウィーンの楽友協会大ホールやアムステルダムのコンセルトヘボウを訪れたこともあります。
優れたホールのいい席でオーケストラを聴くと、まさに「天上の音楽だ!」と思えてくるときも。
反対にしょぼい席に座ってしまうと、鎮火した対岸の火事を見ているようなトホホ感に襲われます。
ではオーケストラを聴くときの「いい席」とはどんな席で、どこなのでしょうか?
オーケストラを聴くときの「いい席」とは
「いい席」といっても
1. オーケストラの力強い響きを感じ取れる席
2. ブレンドされた響きを感じ取れる席
3. 指揮者やソリストの細かい動きが分かる席
など、聴きてにとってなにを「よし」とするかで左右されます。
ここではサントリーホールを例に「いい席」を探ってみたいと思います。
1. オーケストラの力強い響きを感じ取れる席
オーケストラの力強い響き。たとえばベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーなどドイツ音楽は低音部がしっかりしていないと話になりません。
たいてい、オーケストラでチェロやコントラバスは指揮者の右側に配置されますから、ホールもやはり右側に座ると低音をしっかりと感じ取ることができます。
サントリーホールでいうとRCブロックがこれにあたります。
ちなみに上皇さまなど、皇族の方がサントリーホールで音楽を鑑賞される際は、たいていこのブロックにお座りになっています。(ということはランク的にS席にあたります。)
2. ブレンドされた響きを感じ取れる席
オーケストラのブレンドされた響き。これも美しいですね。
チャイコフスキーの交響曲第5番の第2楽章など、弦を主体に物悲しいメロディがせつせつと語られ、時折金管楽器が嘆きの声をあげる・・・。こういう箇所はホールでブレンドされた響きを体験したいもの。
こういう響きを味わいたいときは、1階席で前から10列目あたり、センターブロックが経験的にベストです。
ちなみに1階席ならどこでもいいというわけではなく、壁際はやはり響きがちょっと不自然だったり、2階席が覆いかぶさっていると音がちょっと抑え込まれたような感じがします・・・。
というわけで中央、音をさえぎるものがないエリアが吉です。
3. 指揮者やソリストの細かい動きが分かる席
これは渋い! 指揮者がどういう命令をして、オーケストラはどう反応したのか。ヴァイオリニストがどういう弓使い、フィンガリングをしたのか。トリルは何回かけたのか。ヴィブラートをどれくらい使っているか。指のヴィブラートか手首のヴィブラートか、肘からのヴィブラートか。
こういうマニアックな楽しみ(というか、実際に指揮とか楽器の勉強をしている人ならすごく参考になるはず)をするにはやはり最前列がいいでしょう・・・。
最前列だとオーケストラの音が頭上に抜けていくような気配がしなくもないですが、後ろに下がれば下がるほど演奏者の動きは分かりにくくなりますから、いわゆるトレードオフというやつですね。
コンサートホールで座ってはいけない席
見えない席、聴こえない席、これは本当にガクッとなります。
一つだけ例を挙げると、NHKホールの3F席です。
なぜかというと・・・。
行くと分かります・・・。
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