大学入試を受験するときに必要になる「調査書」。

これは高校3年間の、国語や数学などの評価(5段階)や3年間を通じての欠席日数、さらには1年生のときは〇〇委員で、何部に所属し・・・。ということが書かれています。

例えば、
1年
ハンドボール部・会計係。部の会計をしっかりと管理し、チームをうまく運営することができた。
大学進学を希望。英検準2級取得。〇〇大学オープンキャンパスに参加。

2年
ハンドボール部・副部長。副部長として部の運営を補佐し、県大会ではベスト8進出に貢献した。
クラスでは保健委員を務める。英検2級取得。皆勤。

3年
進学先の大学について熱心に研究し、A大学とB大学、C大学のオープンキャンパスに足を運んで各大学の学びの内容について整理した。学内弁論大会準優勝。

・・・とまあ、このようなことが書かれています。

私は普段大学入試関連の仕事をしていますので、この調査書というものをたまに目にすることがあります。

入試では、出願にあたり高校3年間でこの人はどんなことを学んで、評価はどうだったのかなということを確認するために調査書の提出を求めることがほとんどです。

私の手元には「令和2年度大学入学者選抜実施要項」という、文部科学省が作成した(クソつまらん)マニュアルがあります。
これによると・・・。

学者の選抜は,調査書の内容,学力検査,小論文,面接,集団討論,プレゼンテーションその他の能力・適性等に関する検査,活動報告書,大学入学希望理由書及び学修計画書,資格・検定試験等の成績,その他大学が適当と認める資料により,入学志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価・判定する入試方法(以下「一般入試」という。)による。

このように、調査書の内容も一応は合否判定の評価材料のひとつとして用いられることになっています。

そして、

大学は,入学志願者から,入学者選抜の資料として,在籍する高等学校が高等学校生徒指導要録(以下「指導要録」という。)に基づき別紙様式により作成した調査書の提出を求める。

とありますから、調査書は出してもらわなくてはならない資料なのです・・・。

その調査書なのですが・・・。ひとつ問題があり・・・。

transcript


調査書は、どれも似たようなことばかり書かれていて訳が分からなくなる

この記事冒頭に記した調査書の文例ですが、これを読んでこの人はどんなパーソナリティの人物かリアルに想像できましたか?

・・・たぶん、できなかったでしょう。

一般入試のときは、こういうのが何百、何千と送られてくるので、99%は誰も読んでないのが実情です。
よほど問題がある人物で、かつボーダーライン上にギリギリいるような人を判断するときに読むことも・・・、あるとかないとか・・・。


調査書は、事実が書かれているとは限らない

先程の「令和2年度大学入学者選抜実施要項」には、調査書の作り方の注意点として「調査書は,個人的主観にとらわれたり,特別の作為を加えたりすることのないように作成すること」とあります。

ところが、事実とは異なることが書かれていて、「特別の作為」がミエミエだったりすることも。

なぜそれが分かるのかというと、私は大学進学のときに奨学金申請にあたり「出身高校の調査書を提出しなさい」ということになっていました。
それで卒業前に調査書を受け取ってはいたものの、結局奨学金は申請しませんでした。
つまり調査書が手元に残ってしまったのです・・・。

1年後。

何が書かれてるんだろう? そう思って開けてみました・・・。すると・・・。
(調査書は厳封されて提供されますので、自分で開封すると無効になってしまいます。なので、普通は絶対に開けてはいけません。)


「書道部」

え?

私は帰宅部でした。高校では「芸術」という科目で「絵画」「音楽」「書道」のうちどれかを2年間履修することになっていて、とりあえず書道を履修していたのですが、なぜか「書道部」の部員だということになっていました。

「この生徒は世界中の文学に親しみ」

え??

たしかに本を読むのが好きで、高校時代にはよく古本屋で1冊300円で売っている世界文学全集の類を読んでいました。でも「世界中の文学に親しみ」は盛りすぎじゃね? と思ってしまいました・・・。


もちろんこのことを書いてくれた先生は嘘をつこうと思っていたわけではなく、しょうもない生徒の将来を思って、せめて少しでもいい評価が得られるようにと、数少ないエピソードを編集してうまく「見せ場」を作ってくれていたのでした。つまり親心というやつですね。

こちらの方も自分の調査書を開封したら、「明朗快活」「自主性に富み」などと加工アプリよりも盛られていると大喜びしていました・・・。




おわりに

こういうのがたくさん送られてくる大学もけっこう大変ですよね。
みんな同じように盛られた結果、ほとんど見分けのつかない人たちだらけになり、人物像を比較しようにもどうにもなりません・・・。

というわけで、「調査書」には何が書かれてるんだろう? と心配する必要は基本的にありません・・・。
私みたいに帰宅部でも書道部になっていたり、陰キャでも「明朗快活」に経歴が加工されているのですから・・・。