岐阜県大垣市出身のヴァイオリニスト、辻彩奈さん。
2016年のモントリオール国際音楽コンクール1位を受賞したことで将来がますます期待される気鋭の若手です。

私が持っている、2017年にリリースされたCDには「現在、東京音楽大学に在学中。使用楽器:Joseph Guarneri del Ges “Serdet”1716(NPO法人イエロー・エンジェルより貸与)」とあります。

このCDが記事タイトルにもあるベリオの『ヴァイオリン協奏曲集』です。大変な美音が連続する素晴らしい演奏です。(以下はCDジャケットの画像です。)


そもそもなぜ私がベリオのCDを買ったか

このブログを運営している私はヴァイオリンを弾いており(もちろん素人です)、2019年冬の時点でモーツァルトの『ヴァイオリン協奏曲第3番』を練習しています。
同時並行でクロイツェルも使っています。
そのクロイツェルは、冒頭にこんなことが書かれています。

以下の曲目はクロイツェル教本と併用して練習するものをやさしいものから順に並べましたが、その間楽しい小品等も入れて生徒によっては順序も適宜に変更して指導して下さい。

コンチェルト(数字は番号を略したもの)
ビオッティ 23番 後に22, 19
(中略)
ベリオ 9, 7, 舞踏幻想曲
モーツァルト3, 4, 5, 6, 7
(以下略)

先生とこの部分を読みながら「次に何の曲を」という話になったとき、私はモーツァルトの『ヴァイオリン協奏曲第3番』に飛びつきました。

とはいえヴィオッティに興味がなかったわけでもなく、単に「一番有名なやつだし、音楽的にも充実してるし、やっぱりモーツァルトだよね」という気分で選びました。

もちろんベリオも「バレエの情景」などで関心があった・・・、ものの、協奏曲はさあっぱり聞いたことがない・・・。

そこで一体どんな曲なのか? を確かめるために参考音源がないか調べていたところ、辻彩奈さんの演奏するベリオのCDを見つけたのです。

辻彩奈さんの模範的な美演。ひたすら綺麗に歌うベリオ

ナクソスから発売されているCDの解説には、「ベリオの協奏曲は、重音奏法とハーモニクスを駆使した華やかな作品が多く、聴いて楽しめるだけでなく、ヴァイオリン奏法の技術取得にも絶大な効果があることでも知られています。
注目の若手、辻彩奈が艷やかな音色と類い稀な表現力で、これらの作品を輝かしく歌い上げています」とあります。

試しにクロイツェルにも「この曲に取り組みなさい」ということになっている(注:取り組みなさいと言っているのはクロイツェル(1766~1831)ではなく、日本での出版にあたり編集に携わった篠崎弘嗣さんです)『ヴァイオリン協奏曲第7番』に耳を傾けて見てください。

冒頭の重音からしてまず輝かしく、かつブリリアントな重量感が感じられます。
フレーズを繰り返すときの強弱の付け方も見事ですし、スケールを駆け下りたり駆け上がったりするところも一つ一つの音符がシャキシャキと歯切れよく奏でられています。

分散和音でも移弦がスムーズで、とはいえ演奏が機械的に陥ることはなく、すべての音符に気品があり、歌うようにスラスラと横に流れていきます。
楽譜はこんな感じです。
beriot

ヴァイオリンを習っている人なら、最初の1小節目からけっこう手強いことが分かると思います。
辻彩奈さんはこういうのをスラスラと、かつ綺麗に演奏しています。うーんすごいや!!

当然ですが、この音源はYouTubeに上がっていません。
CDにはヴァイオリン協奏曲4, 6, 7番、エール・ヴァリエ第4番「モンタニャール」、「バレエの情景」が収録されています。
「バレエの情景」も発表会などでたまに曲目として選ばれることがありますね。

もしベリオの協奏曲に取り組んでいる人がいらっしゃれば、模範的なヴァイオリン演奏の一つとして、また貴重なベリオの録音として、ぜひ手元に置いておきたいCDです。
私はここ最近、何度もリピートして参考にしまくっています。
私が辻彩奈さんのように弾けることは一生ないでしょうが、「目指すべき演奏」として日々耳を傾けています!