ヴァイオリンという楽器は、思いの外使いこなすことが難しいものです。
これは、音程をとることだけでもミリ単位での調整が必要になり、大変な根気が必要とされるからです。

さらに! 弓を右手でまっすぐに動くようコントロールし、なおかつ弦に直角に当たるようにしなくてはならないという複雑なことも求められています。

こういう細かいことを右手でも左手でも同時にやらなければいけないので、難しいのは当然ですよね・・・。(私は2019年秋時点でモーツァルトの『ヴァイオリン協奏曲第3番』まで辿りつきましたが、いまだにこのことで悩んでいます。)

それでもあなたはどうにかこうにか、人前で弾いて恥ずかしくないだけの技術を身に着けました。
先生は「次の発表会に出てみないか」と勧めてくれています。

そのときあなたが選ぶべきべき曲とは・・・?

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初めての発表会。緊張で右手がプルプル!

まだあなたが舞台に上がり、人前で演奏を披露したという経験がないのであれば、このことを十分注意しなくてはいけません。

舞台に上がるとめちゃくちゃ緊張します。
その心理状態は、必ず右手に現れます。
緊張が右手に現れると、必ず弓がプルプル震えて、弦のうえで意味もなくバウンドします(ギターの場合、右手のピッキングが自信なげになります)。
あなたは弾きながら「こんなはずでは」と悔やみ、そしていつの間にか曲が終わっています。

かくいう自分もこの現象を経験ずみです。というか、誰もが通る道なのです。
「そんなはずはないだろう」? いえ、大抵の人は、こうなります。

ではそういう状態になることを前提として、どんな曲を選べばいいのでしょう?

初めてのヴァイオリンの発表会で選ぶべき曲とは

大事なことは、技術的に無理をしすぎないことです。
自分の持っている技術ギリギリの水準でなんとか弾けるような曲だと、本番で大爆死する可能性が高いです。

自分の家で練習しているときの状態を100とすると、本番では60くらいまでそれが低下してしまいます。
舞台という特殊環境で、見知らぬ人びとの目線を意識した瞬間、あなたは一気に萎縮します。

こうしていつもは正確に当てられていた音程はグダグダになり、ポジションチェンジでうまく跳べず、右手はブルブル・・・。

そうした経験がトラウマになり、「努力って報われないんだ」というネガティブな考えになり・・・。

私としては、なるべく簡単かつ演奏効果のあがる曲で、最初の発表会を「まあこんなもんかな、70点くらいかな、フフッ」のような感想で終えていただき、次の本番への踏み台とするのがいいと思っています。
なにしろヴァイオリンはむちゃくちゃ難しい楽器(私はエレキギターも弾きますが、経験上エレキギターで1時間かけてできるようになることは、ヴァイオリンなら6~7時間はかかると思います)ですので、初歩のうちはなるべく挫折しないで成功体験を少しでも積み重ねていくのが吉でしょう。

ではどんな曲を・・・?

私なりにいくつか並べてみました。

初めてのヴァイオリンの発表会で選ぶべき曲を考えてみた

ザイツ「ヴァイオリン協奏曲第5番」より第1楽章。

ザイツの協奏曲はヴァイオリンの初歩の技術を固めていくうえで必ずどれかを演奏することになるはずです。
第5番、私もやりました。この曲の第1楽章は明るい曲調でかなり弾き映えがするもの。
かつ実力を固めていくという意味でもじっくり取り組むべき価値のある作品といえるでしょう。


エルガー「愛の挨拶」。
エルガーがキャロライン・アリス・ロバーツとの婚約記念に贈った曲であり、彼の初期の作品にあたります。

電話の保留音などでよく使われているだけに、これをある程度安定した状態で弾ければ「ヴァイオリンが弾けるんです」と他の人に言ってもまあ格好はつくと思います。


マリー「金婚式」。

小学生のときに聴いたことがあるかも? でもよく耳をすませば、どこか物悲しい雰囲気が漂っています。子供のときにはわからなかった、色んな感情が短い曲の中に込められています。
そうした情感をどう表すかが、演奏のポイントといえるでしょう。


この他にも、教本におそらく載っているであろう、モーツァルトの歌曲「春への憧れ」やヘンデルの「ヴァイオリン・ソナタ第3番 第2楽章」なども、すでに学習ずみだとしても一度「人前で」演奏してみるべき価値のある曲だといえるでしょう。

難しい曲をボロボロになりながら弾くよりも、簡単な曲であっても人前できちんと弾けるほうが音楽としては価値が高いので、こうした易しめの曲を発表会でうまく演奏し、「けっこういけるじゃないか」という経験を積むのがやはり上達への道だと思います。

私にギターを教えてくれた先生は、「上手くなりたければスライムを倒しまくるしかない」と言っていました。
同じことはヴァイオリンでも、ピアノでも、あらゆるジャンルについて言えると思います。