ヴァイオリンを諦めるぞ!!

そう思ってしまう人は結構多いはず。

一説によると、日本のヴァイオリン人口は10万人。そのうちプロ奏者は1,000人。さらにこの1,000人のうち、世界的に認められている人は30人と言われています。
この10万人という数字が「アクティブユーザー」のみなのか、「昔弾いていたよ、でも今は弾いてないよ」という人+「アクティブユーザー」なのかはちょっと曖昧です。

さてヴァイオリンを「諦めた」理由は人によって色々あるようです。

自分なりに見聞きした理由について書き留めておきます。
ちなみに私自身はヴァイオリンを初めて一度投げ出し、エレキギターを始め、ところがそのエレキギターの先生がバッハが好きで「ヴァイオリン弾いてみてよ」とそそのかし、また始めてみたら睡眠時間を削るほどハマり、今度は逆にエレキギターを弾かなくなり・・・。といった具合です。

なんとか今はモーツァルトの『ヴァイオリン協奏曲第3番』という作品までたどり着きました。

でも自分語りはいらないですね。ヴァイオリンを諦めた理由をまとめてみました。

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ヴァイオリンを諦めた理由とは

1.音程があわない! 綺麗な音がでない!

「四月は君の嘘」とか「のだめカンタービレ」とかを見てやりたいと思い始めた・・・。
という人にありがちなのがこれ。

大抵は入門者セットを買ってきてキコキコ弾き始めるのですが、続かない。

なぜか。

・・・難しいからです。

ピアノは叩けば音が出るのに、ヴァイオリンは正しいポイントをミリ単位で正確に押さえて初めて音が出ます。
しかも弓もまっすぐに(弦に対しては直角になるように)動かさなくてはなりません。

左手の精密な動き+右手の綺麗な動き。この組み合わせはプロでも悩むもの。
まして「なんとなく漫画を読んでちょっといいかな」で始めるとあまりのハードルの高さに投げ出してしまう・・・。そういう事例を私はたくさん見てきました。

教本を買ってきて先生に習い始めて、半年くらいでやめてしまうか、その教本の第2巻目あたりまで辿りついたものの、その先もさらに難しいことに気づき、投げ出すか・・・。大体こういうパターンです。

【対策】綺麗な音が出ないというのはヴァイオリンという楽器のまさに基本の「き」に関わる問題です。
自分は地道に音階を弾きまくるという方法で克服しました。(というか、克服中です。)
NHK交響楽団のコンサートマスター、篠崎史紀さんの本『絶対! うまくなる バイオリン 100のコツ』ではうまくなるためには音階が避けて通れないと書かれています。

私は邪道と自覚しつつもクリップチューナーをヴァイオリンにセットし、常に音程を確かめながら音階を弾くという手段で少しずつ音程を改善しています。

音質の改善ですが、日々開放弦でゆっくり上げ弓、下げ弓(全弓で)を繰り返すことで少しずつ高級感ある音になっていきます。

2.就職や進学で時間がない!

これもあるあるです。

実際問題、アマチュアオーケストラに所属している社会人は、少ない自由時間をなんとかやりくりしながら練習しています。
つまり時間がないというのは裏を返せば「やりたくない」のです。

なぜやりたくないか。

ゲームしたり合コンに出かけたりのほうが遥かに面白い! そう思っているからです。

たしかに砂を噛むような基礎練習を毎日何時間も繰り返して平気な人というのは相当ストイックな人でしょう。
ゲームや合コンのほうが面白いと思うのはごく素直な感情だと思います。

でも何かに上達したいと強く願った時、結局人はストイックになるもの。
「時間がない!」(練習に時間を割きたくない!)と言っている人はもともとそれくらいのモチベーションしかなかったということです・・・。
TVを見るのをやめて1時間早起きすれば練習時間は工面できるはずなのに・・・。

3.住宅環境が微妙

たとえば集合住宅に住んでいるという場合がこれにあたるでしょう。うるさいという抗議が来るのではないかとビクビクしながらヴァイオリンの練習をするのはメンタル的にかなり厳しいものがあります。

こうした問題にはミュートというアイテム(?)を使うことでかなり改善できると言えるでしょう。
駒のところにぱかっとはめ込むだけで、音量を3割程度(金属製ならもう少し音が小さくなる?)減らすことができます。

私も軽量鉄骨の集合住宅に住んでおり、この建物で5年以上ヴァイオリンをミュートつきで弾いていますが、一度もクレームが来たことはありません。

ミュートを付けて弾くことは音質とかヴァイオリンの共鳴とかを体に覚えさせるという点でかなりマイナスですが、クレームが来るよりは遥かにマシです。日本の住宅事情を考えると妥協しなくてはならないことは確かにあります。

カラオケボックスで練習するというのも一つの手です。
これなら思い切り音を出すことができます。

ちなみに私は毎年夏になると標高の高いとある地域に出かけて、「午前は美術館、午後はカラオケボックスでヴァイオリン練習、夕方は1周16Kmの湖の周りを走る」というサイクルのひとり合宿をしています。

4.楽譜をどう読んだらいいのかわからない

初めての楽器がヴァイオリンではなくギターだった人にありがちな問題です。

バンドの場合、ギタリストは楽譜ではなくタブ譜を読んで演奏します。というか、楽譜を見ながら演奏するロックギタリストは(かっこ悪くて)まずいないので暗譜でのパフォーマンスが当たり前。

こういう人がヴァイオリンを始めると、楽譜の読み方がわからないので・・・、と言い始めがち。

じつは私自身も楽譜を読む能力はヴァイオリンを始めた当初はゼロでした。

とはいえ習い始めたときは「むすんでひらいて」などのごく簡単な曲から入るので、楽譜が読めなくてもなんとかなるものです。

曲が高度になるとヴァイオリンの楽譜だけでなく伴奏譜も熟知していなくてはならないのですが、少しずつ楽譜を読む力というのは身についてくるものです。
また、一見難しいように見える楽譜であってもベースとなる考え方は小学校で習う分数計算なので、小節それぞれの音符の長さを足し算して「1」になればOK、これが楽譜の正体です。分数計算さえできれば、難しいものではありません。(ほんとである)

それでも諦めたくなったときは

私自身も一時期ヴァイオリンを弾くことを諦めていた(飽きたなどの理由をつけて投げ出していた)時期がありました。

諦めるというとどことなくネガティブな雰囲気がありますが、じつは「諦める」という言葉の中には「あきらかにする」「つまびらかにする」という意味があり、そもそも「諦」という文字のうちには「さとり」という意味も込められているようです。

陸上の為末大さんは「100メートルでメダルを狙うよりも400メートルで狙ったほうがよほど現実味がある」と高校時代に思い始めたそうです。

血のにじむ努力を積み重ねた結果、為末さんは努力しても越えられない壁というものが現実には存在することを悟りました。その結果、「今いる場所でリターンの乏しい努力を繰り返すより、結果の出しやすいフィールドへ移動してそこで成果を上げたほうがよほどよい」という判断をしています。(『諦める力』より)

まさに「逃げるは恥だが役に立つ」です。

人によってヴァイオリンに向いていない、もっとやりたいことができた・・・。

そう思ったときは、無理に続けるよりも心機一転新しいことを始めたほうが精神的に健全なときもあります。

自分は本当にヴァイオリンをやりたいのか、それとも別のなにかに価値を見つけ始めたのか・・・。
このことに気づいた時、「諦める」という言葉はネガティブ一辺倒ではなくなります。

ヴァイオリンを続けるか、別のことを始めるか。あなたの答えはあなたの心の中にあるはずです。