私は大学時代は英語英文学科というところに所属していて、イギリス文学を主に学んでいました。
毎日何らかの形で英語に触れていたのでいやでも英語が身につきました。

卒業後も英語の勉強を続けた結果、TOEICでは910点を取ることができました。

この記事をお読みの方は、ひょっとすると音大生の方ではないでしょうか。羨ましい。
私はヴァイオリンを弾いていますが、高校卒業のあとに始めたので上達がとにかく遅い。
途中の休止期間を除くと9年くらい先生に習っていることになります。
やっとこさモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番にたどり着きましたが、音がショボショボ、暗譜もままならず、やっと辿りついた第1楽章の終わりのカデンツァ(サム・フランコ)で必ず大爆死してしまうありさま。

子供の頃から楽器の練習をして人前で立派な演奏をしてのけるあなたが羨ましいです。

他方で、もしかして留学とかを考えていて「英語力がもっとほしい」と思っていませんでしょうか。
でも留学すると言ってもせめて英語ぐらいできないと、すぐに生活そのものに行き詰まりそうな予感が・・・。では、どうすべきか。正直、できるようになるしかないですよね。

まずは、何らかの形で勉強してみることが大事です。

私なりには、洋書をとにかく読みまくることをおすすめします。
でもどんな本を・・・?

どうせなら音楽の知識がついて、なおかつわりととっつきやすめのものがいいですよね。

ズバリ、指揮者ゲオルグ・ショルティが書いた「自伝」(Memoirs)を強くおすすめします!

frag0001_w720


音大生の方にはショルティの自伝が英語の勉強におすすめ

この本を読むメリットはいくつかあります。

1.そんなに難しい文章じゃないのでわりととっつきやすい

2.20世紀のクラシック業界のことが概観できる

3.成功した音楽家の行動パターンがわかる

4.「あなた」に宛てて、最後に感動するメッセージが書かれている

以下、深堀りしていきます。

難しい文章じゃない

この本はこういう文章で始まります。
In February 1997, when these momoirs were nearing completion, I conducted Bela Bartok's Cantata profana with the Berlin Philharmonic and the Hungarian Radio Chorus. While the performane was in progress a great realization came over me. I understood that my whole life, the whole journey I have made, is contained withiin the story of the Cantata.
(1997年2月、この回顧録が完成に近づいていたときのこと、私はベルリン・フィルとハンガリー放送合唱団を指揮してベラ・バルトークのカンタータ・プロファーナを演奏した。
演奏が進むにつれて、ある大きな実感が沸き起こってきた。私がたどってきた道、生涯そのものはこのカンタータのストーリーの中にあったのだと。)
ショルティ自身もハンガリー出身で英語ネイティブではない(ハンガリーは、民族系統としてはアジア系に属しています。じつはフィンランドもアジア系です)ためか、それほど難しい文章ではありません。
単語がややこしい箇所は辞書を引けばすむ話で、構文としては平坦。
英検2級≒高校卒業程度の力があれば十分読み進められます。

逆に上記の文章が難しいと感じる場合は、英検準2級~2級の対策本を1日1時間程度解きまくれば数ヶ月で読めるようになるはずです。

20世紀クラシック音楽業界のことが概観できる

20世紀を語るうえで避けられないのがナチスと第2次世界大戦。
ショルティもユダヤ系だったがゆえに大戦中は中立国スイスに留まっていました。
ところが戦後はナチスに協力した音楽家たちが軒並み失職。
そこにショルティが活躍する余地が生まれます。そして結局1952年にフランクフルト歌劇場の音楽監督に就任することになります。

また、ショルティは『ニーベルングの指環』全曲録音を果たしたことでも知られていますが、コヴェント・ガーデンでもこれらを指揮したことなど、興味深い記述にあふれています。

成功した音楽家の行動パターンがわかる

1938年に『フィガロの結婚』を指揮してデビューしたのち、ザルツブルク音楽祭に出演したり、様々なオペラハウスの音楽監督に就任し、最後にはシカゴ交響楽団の音楽監督の地位をわがものとします。
これほどまでに成功を収めた指揮者は数少ないでしょう。

彼がなぜ成功したのか。

秘訣としては、やはりすべての仕事に精力的に取り組んだことが挙げられるでしょう。
どんなふうに? それはこの本につぶさに書かれているので、ぜひ一つ一つの出来事を辞書を引きながら追いかけて頂きたいと思います。

「あなた」に宛てて、最後に感動するメッセージが書かれている

ショルティは休暇中の南フランスのアンティーブでこの本の最終チェックを終えた直後、就寝中に心筋梗塞で亡くなっています。
つまりこの本が将来音楽を志す若者たちへの最期の言葉となりました。

この本の結びにはこう書かれています。
I cannot approach the end of this book without giving a message to young musicians. My life is the clearest proof that if you have talent, determination, and luck, you will make it in the end. My motto is “Never Give Up."
若き音楽家たちにひとつだけメッセージを伝えて、この本を結びたい。あなたに才能があり、やり抜く決意があり、運に恵まれているなら、最後にはきっとうまくいく。私の生涯が紛れもない、その証だ。私のモットーは「絶対に諦めるな」だ。
この言葉に付け加えるものは何もありません。至言です。


おわりに

私の手元にあるペーパーバック版では250ページほどの厚みがあるショルティの回顧録。
何も一気に読む必要はなく、辞書を引きながらゆっくりで構いません。
英語力をアップさせたいとお考えなら、この本が読めるくらいなら読解力としては十分。
ひとつのターゲットとして一冊手元に置いておいて間違いのない本だと思います。

追記:この本は新品の価格が高騰していますが中古品ならアマゾンで数百円で買えるようです。日本語版ももちろんありますが・・・。英語力アップが目的ならやはり英語版ですね。