フィギュアスケートでもたまに使われるラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」。
2019-2020のシーズンでもどうやらハンナ・ハレル(田村花亜)選手がこの曲で演技をするようです。



 

「パガニーニの主題による狂詩曲」。どんな曲か

ロシア出身のピアニスト・作曲家であるセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1934年に発表したピアノとオーケストラのための曲です。

まず初めに「主題」が演奏され、そのあとで24の変奏が現れます。
この「主題」は、イタリアのヴァイオリニスト・作曲家であるニコロ・パガニーニ(1782-1840)が自分の技巧を最大限に発揮しようとして作曲した「カプリース」の第24番のメロディでもあります。
だから「パガニーニの主題による狂詩曲」という名前なんですね。

ちなみにこのパガニーニですが、あまりにヴァイオリンの技巧が当時の常識を超えていたため周りから「悪魔」と呼ばれ、しまいには墓地に埋葬を拒否されていました・・・。


「カプリース」の第24番はこのような曲です。



こちらは五嶋みどりさんの演奏になりますが、「カプリース」はヴァイオリン演奏技法のほとんどが詰め込まれており、東京芸術大学や桐朋学園大学など、プロのヴァイオリニストを志す学生がほぼ確実に第一志望とする一流音楽大学の入試課題曲としても用いられています。
その「カプリース」のうち、第24番はひときわ有名なものです。ラフマニノフはこの第24番のメロディを巧みに操って全曲およそ25分ほどの管弦楽曲に仕立て上げました。


 「パガニーニの主題による狂詩曲」最大の聴きどころは

 「パガニーニの主題による狂詩曲」最大の聴きどころといえば、やはり第18変奏でしょう。



どうやったらパガニーニのメロディがこんなキレイなメロディになるのか・・・。
一応「反行形」(上下を反対にした形)という作曲技法が使われているのですが、普通逆さにしてやろうなんて思いつきませんよね・・・。

とはいえこの部分だけ突出して有名なのも事実で、コンサートでもヴァイオリンとピアノに編曲されて単独で演奏されたり、映画やドラマで使われることもしばしば。


 「パガニーニの主題による狂詩曲」を実際に使ったフィギュアスケート選手

例えば荒川静香選手。



トリノオリンピックでは金メダルに輝いた彼女ですが、こちらでも端正かつ優美な演技を繰り広げています。

羽生結弦選手も2010年にやはり使用していました。



まだあどけなさを残す羽生選手ですが、その姿には将来残すことになるであろう輝かしい業績を予感させるものがあります・・・。

こうした有名な選手が使っているだけに、おそらくこれからも「パガニーニの主題による狂詩曲」は引き続きどこかのフィギュアスケーターによって演技の題材となることは間違いないでしょう。

全曲を通して聴くとダイナミックなところもあり、果てしなく広がるロシアの大地を思わせるなつかしいメロディもあり、起伏に富んだ一曲となっています。
どの部分を限られた演技の時間に使い、どう曲想を自分の肉体で表現していくのか、そのあたりも評価のポイントとなりそうです。

CDでお探しの方は、日本人ピアニストなら辻井伸行さんが最近リリースしたものが録音も新しく、またこれから実際に彼の実演に接することができることも考えると、注目すべき一枚ではないでしょうか。


有名な第18変奏をピアノで弾いてみたい方は、輸入楽譜が楽天で取り扱っているのを見つけました。
ただし説得力ある演奏をするとなると、ハードルがものすごく高いと思われます・・・。