荒木飛呂彦先生の『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフ作品『岸辺露伴は動かない』。
その2巻目のエピソード「ザ・ラン」。
橋本陽馬は筋肉の神に取り憑かれた男として登場します。
「象徴する名前は色々あるがギリシャ神話だと『ヘルメス神』『橋本陽馬』はヘルメス神の化身となった男なのだ」
岸辺露伴は杜王町のジムで橋本陽馬と出会い、危うく殺されかけたところで正体を見抜いて逃げ出しました。
ではヘルメス神とは実際にはどんな神なのでしょう?
橋本陽馬はヘルメス神の化身。どんな神なのか
ギリシャ神話では神々の使者として様々な情報を伝える伝令の神という役割を担っています。
ヘルメスは、ゼウスとプレアデス姉妹のひとり・マイアの子供で、非常に聡明で器用で素早いのが何よりの特徴。
さらには幸運と富を司る商業の神でもあり、旅人の神でもあり、泥棒の守り神でもあります。マルチに活躍していますね。
しかも頭の回転が早く、弁舌の才能もあり、竪琴や笛など楽器の演奏も得意です。
これがジョジョのスタンドだったら死角はない・・・。そう言っても過言ではないでしょう!!
なにしろ生まれてすぐに母が見ていない隙をついて揺り篭から逃げ、兄アポロンの飼っていた牛50頭を盗むとかいうとんでもないことをやらかす奴ですから・・・。
「ザ・ラン」では橋本陽馬は時速25kmで疾走しています。
これはどんなスピードかと言うと・・・。
箱根駅伝の選手が1kmをおよそ3分で走っていますが、これは時速に直すと20km!
つまり箱根駅伝のランナーよりもさらに速いスピードで走っています!
ヘルメスも神話の数々のエピソードで足の速さは実証済み。橋本陽馬がヘルメスの化身だというのはそのとおりと言えるでしょう。
ローマ神話にも登場するヘルメス
ギリシャ神話とローマ神話は共通性があり、ゼウス=ユピテル、ポセイドン=ネプトゥヌスなど名前が違うだけで人格設定はほぼ同じ。
ヘルメスはローマ神話ではメルクリウス(英語読み:マーキュリー)として登場。
ラテン語系の言語のひとつであるフランス語を学んだ方なら水曜日はmercrediだとご存知のはず。
jour de la Mercureつまりメルクリウスの日=水曜だというわけです。
占星術にこだわっていたイギリスの作曲家、グスタフ・ホルスト(1874-1934)は『惑星』という管弦楽曲を作曲し、「火星」や「金星」などそれぞれをローマ神話の神マルス、ヴィーナスなどに対応させています。
「水星」も「翼のある使いの神」として一曲を与えられています。
木管楽器が活躍する、短いながらも非常に軽快感に富んだ一曲となっています。
ちなみにヘルメスはなぜ足が速いのかというと、「水星」そのものが明け方または夕方のごく短い時間しか地球からは見ることができないからです。そこから転じて「すばしっこい」というイメージが与えられたものと思われます。
おわりに
こうまとめてみると、岸辺露伴が襲われて死ななかったのはヘブンズ・ドアーをとっさに使う機転のよさがあったからだと思われます。
『ジョジョの奇妙な冒険』の第4部では、前作第3部と違って心理戦となるシーンが多く盛り込まれています。
スピンオフ作品『岸辺露伴は動かない』でもその特徴が引き継がれているのでしょうか、緊迫のジムで命がけのラン、そしてとっさの判断で辛うじて橋本陽馬に殺されずに済むという結末になっています。
橋本陽馬のような人物が周りにいなくてよかったですね・・・。
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