私の所にまたアホなメールが届きました。
題して「【4日間限定募集】44歳以下の全ての借金を消すQRプログラム」。
「国民所得改善機構」が消費者金融を含めた 全ての借金を無くす専門プログラムの先行受付けが 開始されました 。

【QR借金返済プログラム】とは?
屋号「国民所得改善機構」が 日本の経済力向上を目的とした借金のある 44歳以下の日本国民のための 「生活の質」更生プログラムです

たった一度の失敗が原因で、なかなか借金生活から 立ち上がれずに苦しむ44歳以下の若者を救います

最短のケースでは30日間以内に全ての借金が消えます

借金の無い、希望の抱ける生活が戻ります

多くの債務者は借金が理由で、より高い月収の 職業への転職のチャンスを失っています

借金のある方が本来の生活を取り戻すためには 即座に借金をゼロにする以外ないと考えています

借金の理由は問いません

借金返済の申請ご希望の方は すぐにこちらで条件の確認をされて下さい

こんなメールが来るのは日常茶飯事。
仮に1万人に一斉送信したとして、1%の人がメールのリンクをクリックし、さらにその1%がその「プログラム」に申し込んだとすると、1万人に1人が引っかかるという計算になります。
(Googleが表示しているネット広告のクリック率は大体1%と言われていますから、あながち的外れとは言えない数字だと思います。)

一体どうしてこんな詐欺に引っかかるのか・・・?

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なぜ人はガセネタに騙されるのか

同じことが借金返済だけでなくがんの治療にも言えると思います。
NHKクローズアップ現代ではがんの治療の現状について一石を投じています。
“最先端”を掲げ、高額な料金がかかるがん治療で、トラブルが起きている。ネット上には “樹状細胞”“遺伝子治療”“NK細胞”など話題の医療用語をちりばめ、患者に期待を抱かせたり、事実と異なるウソや大げさな表現の広告が少なくない。ところが、そうした治療は大半が、有効性や安全性が十分に確認されておらず、保険も使えないものだという。
(https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4141/index.htmlより)

これは、自分の余命を少しでも延ばしたいという患者の「おぼれる者はわらをもつかむ」心理につけ込んだ手法ともいえるでしょう。

同じように、借金で苦しんでいると、どうしても起死回生というか、一発逆転を願ってついこういう怪しいメールのリンクをクリックしてしまうのではないでしょうか。

追い詰められると一発逆転をつい狙いたがる心理

人はどういうわけか、追い詰められるとつい一発逆転を期待してしまう傾向があるようです。

昭和19年10月、太平洋戦争も末期に入りつつあるなか、日本軍は戦力をすり減らし、アメリカ軍はフィリピンに迫りつつありました。
その時日本軍が戦局逆転を狙って「捷一号作戦」を発動。
これは有名な「レイテ沖海戦」を含む、フィリピンほとんどを舞台として行われた史上最大規模の海戦となりました。

結果的に日本軍は惨敗。残存艦艇のほとんどを失い、以後組織的な戦闘を行うことができなくなり、結局神風特攻隊のような作戦に頼らざるを得なくなってしまいます。

捷一号作戦を短くまとめてしまうと、一発逆転を期したものの裏目に出てしまい、かえって状況が悪化したということになるでしょう。
無論そんなことは冷静な第三者の目だから言えるわけであって、その時その場にいた人から見れば、「一番まし」な選択肢だと思われたのかもしれません・・・。

でも実際には「やばいな」と思い始めたその時に手をつけておかないと、後々もっとやばいことになるのが太平洋戦争に限らずいつでも当てはまる法則のようです。
借金も病気も、初期のうちに手を打っておけばいくらでも「やばい道」を引き返せるんですけどね・・・。