国際規格では、オーケストラのチューニングで使われる「ラ」の音は440ヘルツということになっています。

とはいえこれは法律でもなんでもないので、破ったからといって罰則があるわけではありません。

オーケストラのチューニングの「ラ」は国により色々あるようなのです・・・。


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オーケストラのチューニングは440~445ヘルツと幅広い

日本のオーケストラの場合は442ヘルツが用いられるのが一般的。
だからヴァイオリンのチューニングも442ヘルツでやりなさい、と先生から言われることが多いはず。むしろ441ヘルツや443ヘルツでやりなさい、と言っている人を見たことがないですよね。

標準的な440ヘルツよりも高めのピッチを選んでいるのは、音の輝きを増すためだとされています。

一方でアメリカのオーケストラは440ヘルツを採用しているところが多いようです。

ところが、445ヘルツでチューニングしているオーケストラがありました。
それは・・・。

ウィーン・フィルは445ヘルツでチューニングしていた

ウィーン・フィルはなんと445ヘルツでチューニングしているとか。
弦楽器はチューニングのときのピッチを高くすればするほど、弦の張力が増すため響きが硬くなるという難点があります。
しかしウィーン・フィルは柔らかで気品のある音色が特徴。445ヘルツと柔らかい音色という相反するものを両立させているのか、とても不思議です・・・。

ウィーン・フィルが使っている弦楽器はじつはあまり高くありません。
NHK交響楽団などで使われているものよりも一桁、場合によっては二桁も少ないと言われています。ウィーン製のその楽器はくすんだ渋めの音色であり、どちらかといえば室内楽向けの響きだと言われています。

その難点をカバーするために編み出されたのが445ヘルツでのチューニングのようなのです。
名指揮者、ロリン・マゼールがウィーン国立歌劇場管弦楽団と衝突したのもピッチが理由らしく、440ヘルツに固執したマゼールが445ヘルツを譲らないとするオーケストラと険悪ムードになり、そのことが短期間での音楽監督辞任につながったと言われています。

ギターは440ヘルツが一般的

私はヴァイオリンとエレキギターを演奏します。
エレキギターのチューニングをヴァイオリンの要領で442ヘルツで合わせたある日、ギターの先生から「音が高すぎるから440ヘルツにするように」と一瞬で指摘されました。
さすが先生、耳がいい!

ちなみにシンガーソングライターのmiwaに「441」という曲がありますが、彼女はどうやらギターを441ヘルツでチューニングしていることに由来しているようです。
チューニングが揃わないことを恋愛のすれ違いになぞらえたかったようなのです。
さすがシンガーソングライター、面白いセンスですね!


参考文献:中野雄『ウィーン・フィル 音と響きの秘密』