いつものようにお風呂上がりにニュースをチェック。

ん、Yahooニュースが騒がしい。あれ、あれっ・・・?

『NGT48山口真帆、卒業を発表「今の私にNGT48のためにできることは、卒業しかありません」』

このニュースに膨大な数のコメントが付いていました。

つまり被害者が追放され、加害者はノーダメージ。

山崎豊子さんの小説『沈まぬ太陽』を地でゆくような展開に私はのけぞりました・・・。

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山口真帆さんの卒業発表。運営会社・AKSは社会からの信頼を失っただろう

世の中でここまで白黒がはっきりした事件もなかなかありません。

この記事をお読みの方は既知のことでしょうから詳細は省きますが、事件が発生してからおよそ4ヶ月。
事件発生から山口さんが真相を明かすまでにも1ヶ月の期間がありました。

内部で真相を究明し、対策を立てるには時間は十分あったはずです。
しかしAKSの行ったことは被害者である山口さんを棚晒しにし、アイドルとして不適切な言動のあったとされる人物は不問に付す。こんな非人間的なことが、現実にあるとは・・・。

『沈まぬ太陽』は、日本航空がモデルとされる勤務先の不正を正そうとした主人公が報復人事でアフリカや中近東などに左遷されるというあらすじです。
主人公の勤務先「国民航空」の不正体質は改まらず、やがて御巣鷹山ジャンボ機墜落事故の遠因となり、多くの犠牲者を生むことになります・・・。

もちろんこれはあくまでも「小説」であり、善悪が図式化されているきらいがあります。
ところがこの小説を上回るような不正体質が実在し、まだ将来も十分にある若い女性が痛ましい犠牲となってしまうとは・・・。

山口さんはこう語ります。
事件のことを発信した際、社長には「不起訴になったことで事件じゃないということだ」と言われ、そして今は会社を攻撃する加害者だとまで言われていますが、ただメンバーを守りたい、真面目に活動したい、健全なアイドル活動ができる場所であってほしかっただけで、何をしても不問なこのグループに、もうここには私がアイドルをできる居場所はなくなってしまいました。

目をそらしてはいけない問題に対して、「そらさないなら辞めろ。新生NGT48を始められない」というのが、このグループの答えでした。
(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190421-00000353-oric-entより)

案の定ヤフーニュースのコメント欄は大荒れ。AKSは社会からの信頼を完全に失いました。
NGT48は「新潟」という土地の名前を背負って舞台に立つグループ。このことを考えれば、地元からの期待を一身に集めて活動をする代わりに何が関係者に求められていたかは分かりきったことです。
新潟県ではグループを応援していた方、憧れていた子供たちもいたことでしょう。彼ら(彼女ら)のことを考えると胸が痛みます。

辛い人の心に寄り添うことの大切さ

今回の事件で私が最も憤りを感じるのは、運営会社の幹部が被害者である山口さんに寄り添う姿勢を見せなかったことです。
新興企業ゆえマネジメント体制に不備があったこと、ゆえに「人」の責に帰するものではなく「体制」の未熟さにある――、そういう見方もできるでしょう。

しかしながら事件発生から4ヶ月という時間があったわけですから、体制以前の問題であり、内部でマネジメントをしている経営幹部の怠慢(あるいは問題のあったメンバーに残留させたほうが経営的にはプラスだという金銭的打算?)としか言いようがありません。

唐突に話は変わって恐縮ながら、この記事を書いている私自身は岡山県倉敷市の出身になりますが、昨年は集中豪雨のため、私の実家の隣町である真備町が大変な被害を受けました。
後日、天皇皇后両陛下が真備町を訪問くださり、被災者一人ひとりに声をかけられました。
私の地元倉敷にまで足を運んでくださり、温かいお言葉を掛けられたお姿には尊敬の念しかありません。

天皇陛下は自分が始めたわけでもない太平洋戦争にも責任を感じられているのか、高齢の身をおしてまで南太平洋の島々にまで足を運ばれ、戦没者を追悼されています。

なぜ私たち日本人がこのようなお姿に共感するのか・・・。
それは辛い立場にある人たちに真っ先に寄り添っているからに他なりません。

言うまでもなく、AKSはこの真逆を実行しました。

アイドルにまつわる事件を語るのにわざわざ天皇陛下まで持ち出すのはかなりおかしな組み合わせかもしれませんが、私にとって辛い人の心に寄り添うことの大切さの例として、私の地元倉敷まで来てくださったことを挙げさせていただきたいと思います。

AKSは社会からの信頼を失った

今回の事件への対応により、AKSの体質が明るみに出ました。
被害者を無視し、さらにはハラスメントを行う。
他方で何をしても許される。

企業は社会からの信頼があってこそ活動を行うことができるもの。
今後NGT48というグループは狭い道を行くことになるでしょう。
しかしやむを得ません。自分たちで選んだ道なのですから・・・。
(余談ながら原子力発電所の再稼働が進まないのも科学的な安全性とは別に、稼働そのものに社会からの信頼が得られていないからでしょうね。)

芸能人・スポーツ選手は社会からの期待を背負っているだけに、一般人よりも一層高い水準のモラルが求められますが、それができない、何をしても不問に付すというのですから、社会からの反応もそれなりになるでしょう。

芸能界は嫉妬、カネ、様々な思惑が渦巻く場所だと聞いたことがあります。
まともな人はいられない場所なのかもしれません。だから、山口真帆さんのような常識ある人が退場させられる「逆淘汰」が起こる。

私としては、蟷螂の斧に過ぎませんが、またとりとめもない文になってしまいましたが「ペンは剣よりも強し」を信じてこのような記事を作成・公表させていただきます。

山口真帆さんの今後のお幸せを陰ながらお祈りいたします。