ピアノの詩人と呼ばれたショパン。

彼の代表作はもちろんピアノ曲だらけ。『ピアノ協奏曲』『エチュード』『前奏曲』『バラード』などなど。
いくつかチェロ曲や歌曲も残していますが、正直ほとんど知られていません。

他方で、ショパンのヴァイオリン曲があるのかないのか、Googleで検索する人もいるらしく、検索需要はそれなりにあるようです・・・。

この画像は、関連キーワード取得ツールというもので「ショパン」と検索してみた結果の抜粋です。
ショパンという言葉とヴァイオリンという言葉を結びつけて検索している人がいることが読み取れます。
chopinvn

さて、じつはショパンですが有名な「バラード第1番」のヴァイオリン編曲版が実在するのです・・・。
楽譜もCDも販売されているのです・・・。

tombstone-1185247__340

ショパン作曲、イザイ編曲ヴァイオリン版の「バラード第1番」

ピアノを弾く人なら誰もが憧れる「バラード第1番」。その編曲版は19世紀~20世紀初頭に活躍したヴァイオリニスト兼作曲家、ウジェーヌ・イザイ(1858-1931)により完成されました。

楽譜はこちらです。世界初出版とのこと。ショパンゆかりのポーランドでもなく、アメリカでもなく、日本で出版されたことはとても誇らしいですね!


この手の楽譜は一度見かけて買い逃すと、絶版になっていたりということがあるもの。
私は見つけた瞬間に(弾けるわけもないのですが)買いました。運指は徳永二男氏がご担当となっており、日本人の手でも無理なく指が回るようになっているようです。(繰り返しますが、私にはまだ弾けません・・・。)

校訂にあたった永田郁代氏はこう書かれています。
2009年に自筆譜複写を母校桐朋学園大学図書館を通じ入手して以来、世に出したい一心でしたが、こうして出版にたどり着くことができたのは多くの方々のご尽力のお蔭に他なりません。

底本はアメリカ議会図書館所蔵の直筆譜(編曲年/1916年)とのこと。

CDも販売されています。

このCDで演奏している篠原悠那さんは、フジアニメ「四月は君の嘘」でヒロイン・宮園かをりのモデルアーティストを担当したとか。
作中クライマックスでも実際にこの曲が演奏される場面があります。

篠原悠那さんも実際にトッパンホールのリサイタルで「バラード第1番」を演奏していましたが、プロ活動を行っている方にとってもこの曲は難しいらしく、たしかに細かい音符をまき散らしながら駆け上がったり駆け下りたりするのは、どのヴァイオリニストにとっても非常に怖い音の配列になっています!

実際問題、譜面を見る限り本当にえげつないくらいに難しいです。
ぱっと見た所では重音奏法で一気に登っていくような所があり、メンデルスゾーンの『ヴァイオリン協奏曲』を弾けるくらいの腕がないととても歯が立たないでしょう・・・。

とはいえヴァイオリン編曲版とは非常に珍しいので、もし実演に接する機会があればぜひコンサートホールに足を運んで損はないと思います!!