こんなことを書いている私もきっとコミュ障です。このブログは「友だちいない研究所」。もともと、友だちがいない人の心理などを書き綴る場として設置したサイトです。

そのコミュ障の人も、本当は人に伝えたいことがあるんです。

でもコミュ障なのでうまく伝えられないのです。つまり口下手なんですね・・・。
そんなコミュ障の人の気持を覗いてみましょう。

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コミュ障の気持ちは? 口下手な理由はなに?

じつはとてもわかりやすい例があります。これは漫画の登場人物です。
でもコミュ障の気持ちをかなり的確に捉えています。


『古見さんは、コミュ症です。』(オダモトヒト)

この漫画はこの言葉から始まっています。
「コミュ症――とは。人付き合いを苦手とする症状。またはその症状を持つ人をさす。留意すべきは―― 苦手とするだけで、係わりを持ちたくないとは思っていない事だ。」

主人公は高校一年生、古見硝子(こみしょうこ)。

古見さんもコミュ障なのでうまくしゃべることができません。
べつに何か身体機能に障害があるというわけでもなく、単にうまくしゃべれないのです。

なぜかというと、人と会話しようとすると非常に緊張してしまうんですね。

そのため、誰かとコミュニケーションするときは黒板やノートに自分の気持ちを書き記します。
人とうまく会話できないことをクラスメイトに気づかれて、こう語ります(ではなく、黒板に綴ります)。

「なんでわかったんですか? 私が人と話すのが苦手な事。」

そのまま古見さんは自分が人とうまくしゃべれない気持ちを一気呵成に黒板に書きなぐります!

「私 人前に出ると緊張で表情が固まってしまって、その怖いと思うんですけど 本当は喋りたいんです
でも私が 近づくと 相手にも緊張されたり 逃げちゃったり 失神したりしてしまって 土下座されたこともあります
・・・なんか 嫌われてるのかなって・・・。
いえ分かってるんです。こんな話しにくい人 嫌われるに決まってるって」

「中学生の時
つらかったんです。
お弁当の時間が。
ひとりでご飯を食べるのが。

皆がおしゃべりしながら ご飯を食べているのを 見るのが。

つらくて

三年間毎日 話しかけようとしました。
でも、声が
出ないんです。
どうしても
どうしても。

声をかけることが できなかったんです。

どうしよう。

どうやって話しかけよう
話しかけた後どうしよう。

拒否されたらどうしよう。
次の会話はどうしよう。
つまらないって 言われたらどうしよう。
うまく笑えなかったらどうしよう。
友達になれなかったらどうしよう。
無視されたらどうしよう。
変な子だって思われたらどうしよう。
私は 一生このままだったらどうしよう。」

この漫画の語り手である「僕」=只野仁人(ただのひとひと)は、この文章を見て「なんか盛大な勘違いが・・・」と思いますが、読み進めていくうちに少しずつ彼女に共感していきます。

そして物語は進み始め・・・。

コミュ障の人がうまく話せない理由

古見さんの文章から伺えるように、「何々だったらどうしよう」というネガティブな予感がまず先に来てしまうので、最初の一歩を踏み出すことができないのが実態のようです。
つまり口下手なのではなく、またコミュ力がないわけでもなく、必要以上に情感豊かなのでかえってうまくいかないのです・・・。

そんな人(古見さん)は、「なんであんなこと言っちゃったんだろ」とか夜中に考え出して寝られなく成ったりすると『古見さんは、コミュ症です。』の第3巻に書かれています。

実は作家の遠藤周作も「夜中にアアアと声を出している男がいる。理由を当ててみなさい。当たったらあなたは作家になれる素質がある」と何かのエッセイに書いていました。

答えは・・・。


「過去にやらかしてしまったことを思い出して叫んでいる」


だそうです。作家もやはり人間心理に対する洞察力が必要ですから、「なんであんなこと言っちゃったんだろ」と夜中に考え始める古見さんはまさに情感豊かな人の例だと言えるでしょう。

おわりに

このように、コミュ障の人は本当にコミュニケーションできないのではなく、その人なりに真剣に考えた結果、かえってうまくコミュニケーションが取れなくなってしまうという側面があるようです。

『古見さんは、コミュ症です。』はギャグ漫画ですが、なかなかいいところを突いてくる作品になっています。
コミュ障ってなに? 友だちってできるの? そうお考えの方はぜひご一読を・・・。