以前の記事で登場していただいた大学職員の田島さん(仮名)。

その田島さんに引き続きホワイト企業のデメリットについて語っていただきました。

ホワイト企業で働くと、成長しなくなる?

「私は東京都のある私立の大学で職員として働いています。
以前もお話ししたのですがこの職場は夏休みや冬休みが長く、育児休業などを申し出ても拒まれることはほとんどありません。残業時間も繁忙期を除けば毎月10時間程度です。

年収は30歳で500万円ちょっと。40歳になる頃には700万円~800万円くらいです。

この労働環境は、ホワイト企業と言っても差し支えないと思います。

ところがやはり世の中美味しい話には裏がありました。

結論から言うとこういうところで働いているといろんな意味で成長しないんです」

私は田島さんが話すのを聞いて、思わずどうしてですかと尋ねてみました。

田島さんは教えてくれました。

「今の勤め先=大学は業績が非常に安定しています。
子供の数が減って大学は冬の時代だなどと言われていますが、民間企業で働いていた時のリーマンショックに比べれば大したことありません。

何しろ大学って、年の始めに学生一人あたり100万円くらい前払いでお金が振り込まれるんです。
前払いですよ!! おいしいビジネスモデルですよね。参入障壁も高いので、なかなか新規参入組も現れません。

ところが・・・、こんなビジネスモデルのせいで(?)非常に業績が安定しているがゆえに、いわゆる競争原理がなかなか働きません。
職場の査定も完全な年功序列なので、努力をするというインセンティブが働きづらいのです。と言うか査定なんてものは本当のところ何もありません。嘘みたいな話ですが、ありません。

で、この職場で働いてるとどうなるのかと言うと、全く成長しないんです。
職場自体も業績の安定ゆえか、人材を育てようという意識がほとんど見られないんです。

ここでこういう風に叱ろう、ここでこういう風に褒めよう、そういう気遣いをしている人はまずいません。
職場それぞれで独自に形成されているはずの育て方・育てられ方というものがまったくないんです。

私はこの大学で働く前に二つの会社で働きました。これらの会社では本当に人を育てるための考え方とか、20代のうちにこういう経験を積ませようとかいった方法論のようなものが出来上がっていたんです。

ところが今の大学では事務作業をAさんはこれ、Bさんはこれ、Cさんはこれという風に割り振って終わり。マニュアルを渡してやり方を説明してそれで終わり。

事務作業を間違えなければ何も言われない。

間違えた時だけなぜ間違えたのかと責められる。

・・・そういう職場なんです」

・・・なんだか、天敵のいない島では鳥すら飛ばなくなる式のお話です・・・!


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ホワイト企業で働くと、サマルトリアの王子になる?

田島さんは語り続けます。
「するとどうなると思いますか? 
・・・結局間違えないこと、新しいことにチャレンジしないことががベストソリューションになります。

でも。よーく考えてみてください。そういう環境で5年、10年と働いているとどうなるでしょうか。

新卒の時は優秀な大学生でも、30歳40歳と歳を重ねるにつれてただの何もできないおっさんになっていくんです。

私も30歳を超えていますが、 10年以上働いているわりには何の武器になる技能もありません。
そうですね・・・もし私のキャラをゲームで例えるなら「ファミコン版の」ドラクエ2のサマルトリアの王子といったところでしょうか。

白兵戦ではローレシアの王子に絶対負けます。魔術ではムーンブルクの王女に絶対敵いません。しかもファミコン版ではロトの血を引いているという設定なのにロトの剣を装備できないんです。

・・・っていうか、装備できる最強の武器が「てつのやり」って何ですか? 終わってませんか?
ベギラマもしょぼいし。

子供の頃ドラクエ2をプレイして、このキャラ何のためにいるんだろうと思っていました。

でも今わかりました。

サマルトリアの王子って、自分のことだったんです。

30歳越えてもVLOOKUP関数すらろくに使えないし(というか使う機会がない)、この職場に転職してくるときまではTOEICも900点を越えてたんですけど、総務とかそういう部署に配属されて英語はまるで使わなくなり、忘れていってしまいました。

その後も穴埋め玉突き式に人事異動で、自分の専門とかキャリアの軸なんてものはなあんにもありません。

何のためにいるのかはっきりしないキャラ、それがサマルトリアの王子であり、自分だったんです。

でもサマルトリアの王子は、一応英雄の血を引いているだけまだ私より100万倍もマシですよね・・・」

・・・。田島さん、今日はいつにもまして自虐的でした・・・。

おわりに。就職活動に時代の変化の兆しアリ

田島さんの少し上の世代はロスジェネ世代と言われていて、就職でとても苦労しました。
その反動か、田島さんの世代は安定を求める人が多くて、公務員のような職種が人気でした。

最近では雇用情勢が改善して(というか労働力人口が不足してきて)就職活動も学生たちは強気になり、安定や収入よりもやりがいや自分の成長性を重んじる傾向があるとか。

いやはや、時代は少しずつ変わっていくものです・・・。


追記:もし田島さんのように大学職員などの安定を求めて転職してみたいとお考えの方がいらっしゃったら。
またはホワイト企業から一歩踏み出して違う道を歩きたい方がいらっしゃったら。

転職エージェントに登録して、職務経歴書の書き方や面接指導を受けるのが近道です。
いまは終身雇用なんて終わりかけた言葉ですから、自分の道は自分で切り開かないといけませんね・・・。
「もともと地上に道はない」って言葉もありますしね・・・。

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