ディズニー作品に登場するプリンセスたち。

白雪姫、アナ、ラプンツェル・・・。

こんな素敵なプリンセスになりたい! そう憧れる女の子たちは沢山います。

でも一体どうやったらなれるのか・・・。
王女らしいテーブルマナーを身につければいいのか? それともアリエルみたいな歌い方ができればいいのか?

もちろんそういう特技があるに越したことはありません。

しかし、一番大切にすべき「考え方」があります。

この「考え方」は、欧米では伝統的に王室、貴族といった階級で重んじられているものです。
もちろん、「プリンセス」を目指すなら当然知っておきたい考え方でもあります!

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ディズニープリンセスのように輝くために、大切にしたい考え方「ノーブレスオブリージュ」

ノーブレスオブリージュ(noblesse oblige、フランス語)とは、
身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという、欧米社会における基本的な道徳観。もとはフランスのことわざで「貴族たるもの、身分にふさわしい振る舞いをしなければならぬ」の意
(コトバンクより)

とされており、つまりは「普段は様々な特権があるんだから、代わりに責任ある行動をしましょう」という道徳観です。古代ローマ時代から、王族・貴族は様々な場面でこの考え方がいざという時の行動規範となっていたようです。


ノーブレスオブリージュが示された例

16世紀イギリス、エリザベス朝時代の貴族であり詩人でもあったフィリップ・シドニー(1554-1586)の戦場でのエピソードをお話しましょう。
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(フィリップ・シドニー。画像はウィキペディアより)

彼はオックスフォード大学で学び、また『アーケイディア』『詩の弁護』などの著作でも知られていましたが、軍人としても秀でていました。
彼はある戦場で負傷し命を落としますが、倒れているシドニーに水を飲ませようと水筒を差し出した兵士に対して、「これは私よりもあなたの方が必要だろう」と譲ったと伝えられています。

自分の体よりも部下のことを気遣い、そして死んでいったシドニーは今なお「高貴な人物」として語り伝えられています。(大学でイギリス文学史を受講するとほぼ確実に出てくるお話です。)

同じくイギリスでは、第一次世界大戦貴族の子弟が自らの責任を果たそうと真っ先に軍隊に志願し、そして死んでいきました。
イギリスでは多くのエリートを一気に失ったことになり、その社会的、文化的影響は第二次世界大戦よりも大きいとされています。

なお、この戦争の生き残りでもあるジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン(ロード・オブ・ザ・リング=『指輪物語』の作者)も多くの友人を失いました。『指輪物語』全編を通じてそこはかとない喪失感が漂っているのはこのためだと言われています。

続く第二次世界大戦でもエリザベス2世がイギリス軍に従軍しています。
1982年のフォークランド紛争にもアンドルー王子がヘリコプターのパイロットとして、イギリス軍に従軍しました。

アメリカでも、やはり社会的身分のある人物がボランティアや寄付に熱心なのもこうした考え方が根底にあると言われています。
他方で、イラク戦争はテロとの戦いであると考え、戦争に賛成した国会議員が少なからずいました。
しかしその子息たちで、実際に戦場に行った人は極めて少なかったことが批判されていたのも、ノーブレス・オブリージュの考え方にそぐわないものがあったことは否定できません。

ディズニープリンセスに見るノーブレス・オブリージュ

ディズニー作品でも直接にではありませんが、やはりノーブレス・オブリージュが影響を与えていると見られる考え方がところどころで見られます。
『アナと雪の女王』でも、物語のクライマックスでエルザが身を挺してアナを守ろうとしたのも深い家族への愛があったからこそですが、女王であればこう振る舞わなくてはやはりさまになりません。(真っ先に逃げ出す女王なんて、国民は支持したくないですよね。)

また、こちらはアニメ映画ではなく実写の作品になりますが2018年冬に公開された『くるみ割り人形と秘密の王国』でもクララは自ら先頭に立って軍隊を率いています。(部下に戦争を任せて、自分は安全な場所にいるわけではない点にご注意ください。)

こうした考え方、行動パターンが作品に一定の格調をもたらしており、感動を呼ぶ隠し味になっているようです。

なにしろ自分を犠牲にしてでも仲間や友人、家族を助けようとするのは、その行動自体が美しいですし、高貴と言っても過言ではありません。

おわりに

今回はディズニープリンセスになるための考え方としてノーブレス・オブリージュについて触れてみました。

もちろん現代の日本には貴族制度はありませんが、少なくともプリンセスのように凛とした振る舞いを心がけることは大切なことだと思います。
ノーブレス・オブリージュという考え方を知っておくことで、いざという時自分に何ができるのか、ヒロインらしいか、そうでないかの判断基準になるはずです。

プリンセスのような気高い行為は、貴族でなく、普通の人であっても実践することがあります。
かつて、ナチス・ドイツがユダヤ人を抹殺するために建設したアウシュビッツ強制収容所では、自分もいつ死ぬか分からない状況のなかで病人に自分のパンを譲った人がいたそうです。
このことを行ったのは名もなき囚人ですが、精神的な意味において貴族の名に値すると思います。

もしかしたら、この記事をお読みのあなたも(私も)こんな気高いことを実践する時がやってくるかもしれません。(もちろん、ナチスのような行為は二度と繰り返してはいけませんが。)家族のために、同僚のために、あるいはこれまで会ったこともない誰かのために・・・。

その時あなたは(私は)何ができるのでしょうか。

ディズニープリンセスのようになりたいとお考えの方、ぜひノ―ブレス・オブリージュという言葉を心にとめておいてください。