日産自動車のゴーン会長が突然逮捕されました。
NHKニュースでも大きく報道されていましたが、今年の十大ニュース入りは間違いないでしょう。

朝日新聞デジタルによると
日産によると、内部通報を受けて数カ月間にわたり、ゴーン氏とケリー氏の不正行為について内部調査をしてきた。その結果、開示されるゴーン氏の報酬額を少なくするため、両氏が長年にわたって実際の報酬額より少ない金額を有価証券報告書に記載していたことが判明したという。

ゴーン氏が日産の資金を私的に支出するなど複数の重大な不正行為も確認したといい、こうした不正にケリー氏が深く関与していることも分かったという。日産は検察当局に情報を提供し、捜査に全面的に協力してきたと説明。今後の捜査にも引き続き協力するとしている。
(引用:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181119-00000057-asahi-soci)

とのことで、かつて報酬が巨額すぎると批判を浴びていましたが、実際にはその倍ほどの報酬を受け取っていたことが明るみに出ました。
実際の報酬額については日経新聞が報じています。

特捜部によると、2011年6月~15年6月、実際にはゴーン会長の報酬が計約99億9800万円だったのに、計約49億8700万円だったとの虚偽の記載をした有価証券報告書を、5回にわたり関東財務局に提出した疑い。

特捜部は19日、関係先として横浜市の日産本社などを家宅捜索した。

関係者によると、ゴーン会長が自宅の購入代金などを日産側に全額負担させ、報酬として計上していない疑いがあるなどとして、日産の関係者が特捜部に相談していた。

(引用:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37941650Z11C18A1MM8000/?nf=1)
japan-70878__340

ゴーン会長の失脚と内部告発

今回興味深いのは次の2点です。
1.数年にわたる不正が行われていた
2.内部告発により明るみに出た
この2点について考えてみたいと思います。

1.数年にわたる不正が行われていた

有価証券報告書の虚偽記載による事件として有名なのはライブドアやカネボウが挙げられます。

今回はゴーン会長が自宅の購入という私的な行為に会社の資金を用いていたわけで、争う余地はありません。

また、そのような不正が数年にわたり行われていた点についても、それだけ彼の権威に逆らうことが難しかった状況が伺われます。忖度というやつでしょうか。それとも服従でしょうか・・・。


2.内部告発により明るみに出た

日産自動車HPには「当社代表取締役会長らによる重大な不正行為について」と題して次のような声明が発表されています。

日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:西川 廣人)は、内部通報を受けて、数カ月間にわたり、当社代表取締役会長カルロス・ゴーン及び代表取締役グレッグ・ケリーを巡る不正行為について内部調査を行ってまいりました。
その結果、両名は、開示されるカルロス・ゴーンの報酬額を少なくするため、長年にわたり、実際の報酬額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載していたことが判明いたしました。
そのほか、カルロス・ゴーンについては、当社の資金を私的に支出するなどの複数の重大な不正行為が認められ、グレッグ・ケリーがそれらに深く関与していることも判明しております。

当社は、これまで検察当局に情報を提供するとともに、当局の捜査に全面的に協力してまいりましたし、引き続き今後も協力してまいる所存です。

内部調査によって判明した重大な不正行為は、明らかに両名の取締役としての善管注意義務に違反するものでありますので、最高経営責任者において、カルロス・ゴーンの会長及び代表取締役の職を速やかに解くことを取締役会に提案いたします。また、グレッグ・ケリーについても、同様に、代表取締役の職を解くことを提案いたします。

このような事態に至り、株主の皆様をはじめとする関係者に多大なご迷惑とご心配をおかけしますことを、深くお詫び申し上げます。早急にガバナンス、企業統治上の問題点の洗い出し、対策を進めてまいる所存であります。

以上
(引用:https://newsroom.nissan-global.com/releases/release-860852d7040eed420ffbaebb223b6973-181119-01-j?lang=ja-JP)

平成のペリー提督とも言えるゴーン会長は、長らく権力の座に就きすぎたのでしょうか。
そのことが驕りを生み、自宅の購入代金を日本の会社に負担させようという発想になったのか、自分をヒーロー扱いしてくれる日本人に対して、これくらいのことは当然だと思ったのか・・・。

それとも欧米企業の経営者の感覚で巨額の報酬を受け取っていることを日本人に非難されたことに違和感を感じ、なんとかして自分の市場価値にふさわしい報酬を手にしようと思ったのか・・・。

真実は分かりませんが、今後の捜査で少しずつ解明されてくるものと思われます。

さてこの事実は内部告発により明らかになりました。
興味深いのは、これまでゴーン会長のカリスマに頼っていた日産自動車が、外国人の力はもういらないとばかりに切り捨ててしまったかのように見えなくもない点です。(私の主観です。)

日産自動車の復活は、過去のしがらみのないゴーン会長=外国人だからこそできたこと。

そのしがらみが清算された今、もう外国の力はいらない、これ以上彼に気を遣ってもルノーやフランス政府にいいように使われるだけだ・・・。ならば・・・。(ここも私の心の声です。関係者の考えではありません。)

こんな(勝手な)ことを考えながら今回のゴーン会長失脚の報道を見ていると、私は日本の歴史のとある一コマを連想せざるを得ませんでした。

戦国時代にはキリスト教の宣教師とともに南蛮文化が伝来しましたが、鉄砲や大砲のような最新の技術を求めていた戦国大名と宣教師双方の思惑が合致することで日本の工業技術や学芸は振興しました。
ところがキリスト教の布教には西欧諸国の植民地主義と関わりがあることに気づいた豊臣家、徳川家は宣教師たちを追放し、または棄教を迫り・・・。

戦国時代のこの流れと、ゴーン会長失脚の報道はどうしても私には重なって見えてしまいます。

考え過ぎかもしれませんし、単なる金権体質の経営者の身から出た錆と言ったほうがふさわしいでしょう。

いずれにせよ、今回の事件で経営者の不正が暴かれました。
しかし日産自動車固有の技術力やマーケティング力、販売網など有形無形の資産まで否定されたわけではありません。
私自身、数年前まで日産自動車に関連する、とある会社に勤務していたことがありますので、本社の立地する横浜という街を含めて愛着のある企業でもあります。

今回の不祥事から一日も早く立ち直って頂くことを願っています。