「市川海老蔵さん「今だから話せる」妻・麻央さんのこと」という記事がヤフーニュースに取り上げられていました。

一読してホロリとなるニュースだったので今日の記事として取り上げさせていただきます。

闘病生活を続ける小林麻央さんのことで、気丈にも嘘を付いていたようなのです。

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市川海老蔵さんの嘘。家族への思いやりがにじむ

インタビューで、市川海老蔵さんはこう答えています。

「昨日夜に妻・麻央が旅立ちました。『愛している』と言って、本当にそれで、そのまま旅立ちました」(市川海老蔵さん・去年6月23日)

その半年前(2016年12月)のインタビューでは、闘病を支える心境をこう語っていました。

「しんどいけど、しんどくないですね。あんまり。僕大丈夫なんですよね」(市川海老蔵さん)
Q.泣いたりとか?
「ないですね。自分でも不思議です。普通そのシチュエーションを第三者としてみたら、『大丈夫なの?』と思う。けどまあ(自分は)ケロっとしています」
Q.お芝居に集中できないとか?
「ない、ない、ない。全然」

迷いなく答えていた海老蔵さん。しかし、今回改めてこの時のことを尋ねると…

「全面的なうそですよね。彼女(麻央さん)に対しても大丈夫だというふうにみせるし、周りにも大丈夫だよというふうにみせるしね」(市川海老蔵さん)
Q.強がってらっしゃいました?
「そんな簡単なものじゃないよね。体調は一進一退だから、日々。それはすごく悪くなる時もあるわけで。舞台中だけど、なんかやばい時もあるわけじゃないですか。それは、まぁ…普通の精神状態じゃいられない」

不安になる感情を押し殺し「うそ」をつき通した海老蔵さん。しかし、麻央さんが亡くなった後のブログには、それまで見せてこなかった海老蔵さんの姿がありました。

『こんなにも台本が頭に入らないのは初めてで、焦りを超えて愕然としています、涙で台本みれないし、見えたところで覚えられないしもう笑うしかないんです、』(市川海老蔵さん・去年6月25日のブログより)

亡くなった小林麻央さんの闘病生活を支えながら、周りには大丈夫な様子を見せていました。
ところがそれは嘘だったとのこと。

一般的に嘘をつくことは悪いこととみなされます。
また、官公庁や一流企業でも資料やデータの改ざんという「嘘」が発覚し、社会的信頼を失うという事件が最近では数多く発生しています。

この記事に見られる市川海老蔵さんの場合はどうでしょうか。
こういう嘘はむしろ家族への思いやりがにじむ、「優しさ」ではないかと思うのです。

「助かる確率は何%」などという医学的事実を伝えることよりも、きっとうまくいくだろう、そう言い続けることのほうが正しい場合だってあるはずです。

嘘が思いやりになることもある

こういう記事を見ていると、私はどうしても神風特攻隊のことを思い出してしまいます。

かつて神風特攻隊に選ばれた若きパイロットたちも、本心では20歳そこそこの命をむざむざと失いたくはなかったはず。
ところが遺書には「死にたくない」という本心よりも家族への愛、郷土への愛着、そして大きな任務を授かった使命感が多く見受けられるのです。

これは戦時中という状況で本音を語ることへの社会的な抵抗感があったものと思われます。
しかしそれ以上に、家族を悲しませたくない、だからこそあえて最後まで責任を果たそうとする姿を見せるのだという悲しい優しさがあると思います。

もちろんこうした悲劇は二度と繰り返してはなりませんし、そのためにも彼らの残した言葉を心に留めておくことは大切なことだと思います。

さて市川海老蔵さんのインタビューでの言葉も、神風特攻隊員の遺書に見られるのと相通ずる心情が伺われると思います。

かつては六本木での暴行事件などで批判を浴びていた市川海老蔵さんですが、ここ数年で一気に年輪が伺われる人柄となりました。
長女の麗禾ちゃんと長男の勸玄くんのためにも、歌舞伎俳優としてますますのご活躍をお祈りしたいと思います。

注:引用の元となったニュースはこちらです。