フェンシング。

かっこいいけど、周りでやってる人が誰もいないスポーツのひとつ。

2015年時点では、小学生~社会人までの競技人口は5,550人。
(公益社団法人日本フェンシング協会指導者・競技者育成委員会作成、「競技者育成プログラム2016年度指針」より。)

日本武道館のキャパが1万人程度なので、その半分とイメージすれば大体当たっているでしょう。

全国で5,550人ということは、北海道のようなところでは対戦相手を見つけるだけで大変です・・・。
部活動などで研鑽に励む方たちの苦労が偲ばれます。

さてそのフェンシングですが、マイナーなスポーツでありながらとある大会のチケットが完売してしまったようです。

「フェンシング2.0に挑む会長・太田雄貴の奮闘」(https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181012-00242510-toyo-soci)によると、
今年9月3日、第71回全日本フェンシング選手権大会(12月9日開催)のチケット(S席5500円、A席4000円、B席2500円。昨年は観戦料1000円)が完売したという情報が、日本フェンシング協会のHPで発表された。

全体の70%が発売初日に売れ、発売開始から40時間後にはすべてのチケットが完売したという。

これまで、フェンシングのようなマイナースポーツのチケットが即完売したという例は、あまり聞いたことがない。それだけに、驚いたスポーツ関係者やスポーツファンも多かったことだろう。

これには太田雄貴会長のマーケティングセンスによるところが大きいようです。

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東京グローブ座のチケット完売。太田雄貴会長のマーケティングセンス光る。

記事によると、観客の満足度アップのためにいろいろな工夫を凝らしていることが書かれています。

昨年の全日本選手権でLED(発光ダイオード)を用いて、どちらにポイントがついたのかをわかりやすく表示する演出をしたり、観客が場内ラジオで競技解説を聴けるようにするなど、20以上もの施策を実施した。
太田が取り組んだ新施策の中で、中核になったのは「全種目の決勝戦を最終日に集約して行う」ことだった。
「去年は、とにかく集客。まずは、来てもらえないことには何も始まらないですからね。手売りですよ。僕の信頼する20人に“飯を食おう”って言って集まってもらい、全員に10~20枚のチケットを渡して、“これを売ってきて”って」

 あまりにも古典的で手間のかかる手法だが、王道とも言える「手売り」を使って集客を図ることにした太田は、20人のフェンシング出身者や関係者に、オピニオンリーダー(マーケティング用語で、消費者の行動に大きな影響力を持つ人物のこと)としての役割を託した。  その結果、太田から依頼を受けた人たちは、自らが起点となり、仲間たちとコミュニティを作って全日本選手権に来場してくれた。ハブとなったフェンシング関係者は、仲間たちに対して、フェンシングの解説をして楽しませ、責任者である太田は来場者たちとの写真撮影やサインに応じ、来場者の満足度を高めることに精を出した。

さらには、東京グローブ座で試合を行うというアイデアまで・・・。

太田がこの会場を選んだのには主に2つの理由があった。1つは、700人という小さなキャパシティだ。これによりフェンシングファンには、“今年の全日本選手権はチケットが取れないかもしれない”という心理も生まれた。昨年の入場者数が1600人のため、今年のチケット倍率は単純計算しても2倍以上と推測される。
東京グローブ座というのは新宿区にある劇場です。
シェイクスピアの作品を上演することを目的として、17世紀ごろのロンドンの劇場を模した作りになっています。
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画像はイメージですが、東京グローブ座も概ねこんな作りになっています。

要するに、チャンバラ合戦を劇場でやれば迫力があるだろう、ということではないでしょうか。
確かにフェンシングといえばなんとなくパイレーツ・オブ・カリビアンの戦闘シーンを思い浮かべる方も多いはず・・・。

こうした劇場で試合を行えば、スポーツというよりもライブイベントに近い非日常性が生まれますから、野球やサッカーというよりも観劇寄りの見られ方になるでしょう。
実際問題、上記記事ではそのような発言がなされています。

つまり「競技人口が増えない」「注目されていない」というのはじつは伸びしろだったようです。
その伸びしろは、マーケティングの力によって一気に開拓されつつあります。

これは何もフェンシングに限った話ではなさそうです。

パッケージを変えただけで売れ行き好調になった商品、いらないと思って捨てていた魚肉などを再利用して販売したらヒットした商品・・・、なんていう例は世の中にたくさんありますよね。

まとめ

太田雄貴会長の本「騎士道」―北京五輪フェンシング銀メダリストを読んだとき、練習に励む姿や、フェンシング人口を増やそうと奮闘している様子が印象的でした。

実際に、あの手この手でいろいろなアイデアをひねり出し、今回のような成果が生まれてきたのだと思います。
実行力にマーケティングセンスを掛け合わせること地道な努力を惜しまない情熱。成功の秘訣はこの辺りにありそうです。