大相撲の貴乃花親方が本日(2018年9月25日)、日本相撲協会に退職届を提出しました。

ニュースでも大きく取り上げられましたので、もしかしたら今年の10大ニュースのひとつになるかもしれません。

貴乃花親方は記者会見で次のように述べています。


本日、年寄を引退する届けを提出した。引退理由は次の通り。本年3月9日、私は貴ノ岩への傷害事件に関する協会への対応について真実を隠さないようにと告発状を提出した。その後弟子の不行き届きもあり、3月28日付で取り下げたが、告発状の内容には真実に反する点はなかった。その後、降格処分を真摯に受け止め、一兵卒としてゼロからスタートし、部屋の力士への指導、監督、審判としての業務に粛々と従事した。

(出典:https://www.iza.ne.jp/kiji/sports/news/180925/spo18092517380059-n1.html?utm_source=yahoo%20news%20feed&utm_medium=referral&utm_campaign=related_link)

このニュースで街の人の声として「まだ若いのに残念だ」という意見も。

しかし若いのに年寄という役職なので分かりにくいですよね。
年寄=役職名と分かってはいるものの、どうしてもヨボヨボの人を想像してしまいます。

というわけで、なぜ年寄という役職なのか、その由来は? 調べてみました。

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相撲協会の役職名

役職名は、理事長、理事、副理事、役員待遇委員、委員、主任、年寄、参与、評議員、外部役員。
(日本相撲協会HP http://www.sumo.or.jp/IrohaKyokai/rijikai/より)

年寄に貴乃花親方の名前もありました。
他に年寄を務めている方の現役時代の最高位を見ていくと多くの方が前頭。1名は関脇となっています。この一覧の中に元横綱の貴乃花親方の名前が連なっているわけですから、年寄という役職が厳しい処分であったことが伺われます。

「年寄」とは何でしょうか。
コトバンクに詳しい紹介がありました。
「武家時代、政務に参与した重臣。室町幕府の評定衆・引付衆、江戸幕府の老中、大名家の家老など」。これが年寄の元々の由来だそうです。

転じて、相撲の世界では
大相撲興行の経営や門弟の養成に従事する者の名称。引退後の力士が名跡を取得して襲名する。親方ともいう。日本相撲協会を構成する。横綱,大関,三役経験者および幕内通算 20場所または幕内・十両通算 30場所以上務めた力士が有資格者で,名跡が空いている場合にかぎり,襲名できる。ただし,師匠の名跡を継承する場合は,幕内通算 12場所または幕内・十両通算 20場所以上務めた力士に資格が与えられる。なお,名跡に空きがない場合も,横綱 5年間,大関 3年間,力士名のまま年寄資格が得られる。
となっています。たしかに日本相撲協会HPの職務分掌を見ていると、年寄の業務は審判、指導、普及となっています。役職が高ければ高いほど、新弟子検査や地方巡業、ドーピング対策など幅広い職務を担当しているようです。

相撲協会の成り立ちとギルド

日本相撲協会の成り立ちや最近の一連の不祥事を見ていると、「公益財団法人」であるにもかかわらず公益から目をそらすような閉鎖性が繰り返し指摘されていることに特徴があります。

私なりに考えるに、これは中世ヨーロッパで形成されたギルドを連想させるものがあります。

ウィキペディアのギルドの項目によると

中世都市には徒弟制度と称される厳格な身分制度が存在し、その頂点に立つ親方は職人・徒弟を指導して労働に従事させた。ギルドに参加できるものは親方資格をもつものに限られていた。

製品の品質・規格・価格などは厳しくギルド内で統制され、品質の維持が図られた。販売・営業・雇用および職業教育に関しても独占的な権利を有していたため、自由競争を排除してギルドの構成員が共存共栄することが可能だった。しかし、このことが各個人の自由な経済活動を阻害したともいえる。教会と密接なかかわりがあり、集団ごとに守護聖人をもち、その祝日などに会合を行うのが普通であった。

近世の絶対王政下において各都市の自主性が失われ王権に屈していく中で、ギルドは王権に接近して特権集団として自らの利権擁護を図った。しかし徐々に市民階級が成長すると、閉鎖的・特権的なギルドへの批判が強まり市民革命の中でギルドは解体を余儀なくされた。
という記述があります。

引用にあたり、相撲協会との類似性は太字で強調しました。

弟子の検査から興行のあり方など諸々の事柄は相撲協会が監督していますから、「品質の維持が図られ」ています。

相撲部屋も自由に設置できるわけではなく、年寄が相撲部屋を開くにあたり一定条件を満たさなくてはなりませんし、理事会の承認も必要とされています。(=自由競争を排除してギルドの構成員が共存共栄することが可能だった。)

そして、「徐々に市民階級が成長すると、閉鎖的・特権的なギルドへの批判が強まり」というのがまさに「歴史は繰り返す」とでもいうのか、昨今の相撲協会への風当たりではないでしょうか。

「市民階級が成長」とは、現代の日本に置き換えるならば、たとえば人権意識の高まりとハラスメントへの厳しい目線、情報公開と説明責任が様々な場面で重要視されるようになったこと、マスメディアの多様化とインターネットの普及などで一般人も大手TV局などに劣らない発言力を持つようになったことが当てはまるでしょう。

こうした社会の流れに沿って日本相撲協会、ひいては相撲に携わる方々がどう改革を進めるのか。
伝統を重んじつつ、その過去の重みを現代に引き継いで行けるよう、関係者の方々の一層の邁進を期待しています。

また、貴乃花親方は今後は若い世代への普及や指導に意欲を燃やしていると聞いています。
日本相撲協会からは離れることになりますが、今後は例えば解説者、体育大学の教員などといった道を歩まれるのでしょうか。

完全に引退ではなく、まだまだ社会に貢献する意欲をお持ちのようですから、ますますの活躍が期待されます。