このブログで小林麻耶さんの芸能界引退について記事を作成していくうちに、小林麻央さんが結婚式で使っていたティアラがハプスブルク家ゆかりの品だったということを知りました。

今回はその件について調べてみました。
ティアラ
(画像:https://www.christies.com/Lotfinder/lot_details.aspx?intObjectID=4610270より)

小林麻央さんの結婚式のティアラ。ハプスブルク家ゆかりの品だった

このティアラは、オーストリア=ハンガリー帝国の実質最後の皇帝となったフランツ・ヨーゼフ1世の妻、エリーザベトがその娘マリー・ヴァレリー・フォン・エスターライヒ (1868-1924) に与えたもの。

その家系が代々所有していましたが、2005年にクリスティーズのオークションにかけられました。
クリスティーズのHPによると落札価格は252,000スイスフラン。これは2018年8月時点の邦貨に換算するとおよそ2,800万円になります。

落札したのが結婚式時点の所有者アルビオンアート(日本)であったのかまではわかりませんでした。
いずれにせよ同社から結婚式にあたって貸し出されたもののようです。

となると相当由緒正しい品ですね。


エリーザベトとその娘マリー・ヴァレリー

1837年12月24日、バイエルン王家に生まれたエリーザベトは16歳でフランツ・ヨーゼフ1世と結婚しオーストリア=ハンガリー帝国の皇妃となりましたが、宮廷の束縛を厭い様々な理由をつけて欧州のあちこちを旅する暮らしを続けました。

彼女は欧州随一の美貌を誇り、令名を各国に馳せたと言われています。172センチの長身を誇り、体重は40キロ台をキープするために乗馬を始めとして様々な運動に取り組んでいました。

1898年、スイスのレマン湖を訪問中、無政府主義者ルケーニが彼女をヤスリのような刃物で襲撃。60年にわたる劇的な生涯に幕を閉じます。

エリーザベトは保守的なハプスブルク家にあって抜きん出た個性で現在もウィーン観光のヒロイン(?)として今もシシィの愛称で親しまれ、彼女にちなんだ博物館も設立されています。
彼女の生涯にヒントを得て作られたミュージカル「エリザベート」は日本でも帝国劇場などでたびたび上演され、人気の演目となっています。


Erzsebet_kiralyne_photo_1867
(エリーザベト。画像:ウィキペディアより)

娘マリー・ヴァレリーは1868年、フランツ・ヨーゼフ1世と母エリーザベトとの間に生まれました。
エリーザベトが自らの手元で育て、最も愛情を注いだ子だと伝えられています。

1918年、第一次世界大戦の敗北とともに最後の皇帝カール1世は退位しオーストリア=ハンガリー帝国は崩壊。その後マリー・ヴァレリーは遺産の継承権を真っ先に放棄しました。1924年に癌のため、56歳で死去しました。

なお、オーストリア=ハンガリー帝国は現在は存在しないものの、ハプスブルク家は現在も続いています。
マリー・ヴァレリーの兄妹にあたるルドルフの家系がハプスブルク=ロートリンゲン家を継いでおり、2018年現在の当主はカール・ハプスブルク=ロートリンゲン氏。その長男フェルディナントはレースドライバーとして活躍しているようです。

こう見ていくと、小林麻央さんが結婚式で使ったティアラは壮大な歴史ドラマの目撃者であったのかもしれません。


さて、小林麻央さんは2017年に乳がんのため旅立たれました。
訃報が伝えられた日は日本中が悲しみに包まれたことを今も思い出します。闘病生活を綴るブログには多くの方が励ましを受け、生命の尊さに改めて思いを致したことでしょう。最後の時まで伝えようとしたメッセージは全国に届いているはずです。どうぞ安らかに。


(本記事作成にあたり、ウィキペディアのハプスブルク家に関する項目を参考にしました)